2002 Fiscal Year Annual Research Report
液/液二相系反応のための高次機能錯体触媒の開発とヒドロホルミル化反応への応用
Project/Area Number |
13650907
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
清水 正一 日本大学, 生産工学部, 助教授 (10139115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 保之 日本大学, 生産工学部, 助教授 (80256825)
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Keywords | ヒドロホルミル化 / 液液ニ相系反応 / 金属錯体触媒 / 水溶性触媒 / 水溶媒 |
Research Abstract |
本研究では,内部オレフィンから液/液二相系ヒドロホルミル化反応により選択性よく直鎖アルデヒドを得るための新規水溶性ジホスフィン配位子を開発することを目的とした。標的化合物のジホスフィン配位子は,Xanthene骨格を基本構造とする水溶性ジホスフィン配位子で,代表的な構造はXantphosの二つのリン原子にそれぞれ結合している二つのフェニル基の一つをビフェニルエチル基で置換した構造である。この構造の特徴は,水溶性を付与した際にもミセルを形成せずに,液/液界面で基質と相互作用できるようにデザインした点にある。さらに,そのリン原子には異なる3種類の置換基が結合することになり,キラリティーを有する。平成13年度はホスフィンの導入反応を中心に試みた。まず,4,5-Dilithio-9,9'-Dimethylxantheneを発生させ,これとDimethylaminodichlorophophineなどの各種ホスフィンとの求核置換反応を鍵反応として数種のホスフィン中間体を合成したが,何れも酸素や湿気に敏感なため収率良く単離することが出来なかった。そこで平成14年度は,最近頻繁に用いられるようになったホスフィン・ボラン錯体としてホスフィン配位子を安定化させる手法を採用して新たな合成ルートの検討を行い,幾つかの貴重な知見を得た。例えば,中間体の一つの候補として4,5-Bis(boranato-tert-butylphosphino)-9,9-dimethylxantheneを合成し,meso体とラセミ体の分割単離に成功した。しかし,Xanthene骨格特有の立体障害のため,ボラン錯体を中間体とするルートは有効でないことが明らかとなった。そこで次に,4,5-Bis(chlorophenylphosphino)-9,9-dimethylxanteneを経由するワンポット反応を種々の条件で試み,最終的に合成ルートの確立にほぼ成功した。今後,前駆体に水溶性を付与し,この配位子を用いた金属錯体を触媒として水相/有機相二相系でのヒドロホルミル化反応に取り組み,当初の目的を達成する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Shirakawa, S.Shimizu, Y.Sasaki: "Rhodium-catalyzed biphasic hydroformylation of 4-octene using water-soluble calix[4]arene-phoshine ligands"New Journal of Chemistry. 25・6. 777-779 (2001)