2001 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒による高選択的多置換芳香環合成法の開発
Project/Area Number |
13650909
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚田 直史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70292240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 秀一 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00241547)
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Keywords | パラジウム / トシル酸アリル / アルキン / ベンゼン / アリルアルコール |
Research Abstract |
これまでに、パラジウム触媒存在下、トシル酸アリル1分子と内部対称アルキン2分子か.ら五置換ベンゼンが選択的に得られることを見い出している。本年度は、反応の一般性を調査するため種々の置換基を有するトシル酸アリルを用いた反応について検討した。アリル基の3位炭素に置換基を有するトシル酸クロチル、トシル酸2-ヘキセニル等は4-オクチンとの反応で五置換ベンゼンを与えた。フェニル置換基を有するトシル酸シンナミルはそのものが合成単離が不可能であり反応に供することができなかった。また、アリル基の2位炭素に置換基を有するトシル酸メタリルでは全く反応は進行しなかった。この結果は現在提唱している反応機構に完全に一致しているものであり、それを裏付けるものであると考えられる。次に、アリル基の1位炭素に置換基を有する種々のトシル酸アリルについて検討をする予定であったが、それらは非常に不安定な化合物であり調製することができなかった。 置換基を有するトシル酸アリルは不安定なものが多く合成単離が困難なものも多かったため、再度他のアリル化合物について検討した。しかしながら、トシル酸アリルに匹敵するほどの反応性を示すものは無かった。そこで、トシル酸無水物と置換アリルアルコールの反応により系内で置換トシル酸アリルを発生させ芳香環形成反応を試みた。単離したトシル酸アリルを用いたときに比べ収率は若干低下するものの、内部アルキンとの反応により五置換ベンゼンを得ることができた。単離不可能であったトシル酸シンナミルや1位炭素に置換基を有するトシル酸アリルの反応も、対応するアリルアルコール類とトシル酸無水物を用いることにより達成できた。また、1位炭素または3位炭素に同じ置換基を有するアリルアルコール(例えばクロチルアルコールと3-ブテン-2-オール)から同じ生成物が得られることから、本反応がπアリルパラジウム中間体を経由して進行していることが確認された。
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