2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13650956
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 恒久 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (40264593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山登 正文 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40244420)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 磁場配向 / 高分子 / 分子量依存性 / 構造形成 |
Research Abstract |
今年度は高温プローブが順調に稼動した.試料として,磁場配向が既に確認されているポリエチレンオキシド(PEO)とパラフィンを選び,NMR分光器の中で昇温,降温過程でのin-situスペクトル測定を行った. 高温プローブの表示温度と実際の温度が異なるので,まず検定曲線を作成した.分子量4,600のPEO試料を23℃から63℃まで昇温,その後降温して,各温度でスペクトル測定を行ったが,スペクトルの線形に変化はみられなかった。別の実験より分子量が低い資料のほうが配向しやすいことが分かっていたので,分子量2,000の試料を用いて同様の実験を行ったところ,加熱前のパウダーパターンと溶融冷却後のパターンで線形に相違が見られ,磁場配向が示唆された。別の実験ではどちらの分子量も磁場配向したのに対し,高温プローブを用いたin-situ測定では低分子しか配向が見られなかったのは,プローブの熱伝導の関係上,実質の熱履歴が異なったためだと考えられる. 次に熱履歴に対し比較的鈍感なパラフィン試料のin-situ測定を行った.加熱前の試料はパウダーパターを示した.パターンは,文献値のσ_<11>,σ_<22>,σ_<33>値を用いたシミュレーションと良い一致を示した.温度が60℃付近で,σ_<11>=σ_<22>のパターンとなり,六方晶への転移が示唆された。80℃まで昇温した後温度を下げると,50℃付近で再び六方晶が生じたが,その線形は,高磁場側のσ_<33>の強度が落ちた形をしており,c軸が磁場に垂直に配列した配向をとっていることが示唆された.既に行ったX線解析によると六方晶的な液晶構造が生成する時点で磁場配向するというspeculationがなされていたが,今回のin-situ NMR下磁場配向実験によりそのことが裏付けられた. このように今回の研究費に基づく一連の研究によりNMRによる磁場配向のin-situ測定が有用であることが示された.
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