2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポリペプチドにおける水素結合の役割-リオトロピック液晶状態における^2H NMR研究
Project/Area Number |
13650959
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF POLYTECHNICS |
Principal Investigator |
安部 明廣 東京工芸大学, 工学部, 教授 (50114848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比江島 俊浩 東京工芸大学, 工学部, 講師 (30288112)
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Keywords | ポリL-グルタメート / ポリL-アスパルテート / ペンタフルオロフェネチル基の導入 / 単分散PBLG / 分子内水素結合 / らせんセンスの反転 / ヘリックス-コイル転移 / ^2H-^1H交換法 |
Research Abstract |
(1)平成13年度に引き続き、分子量に分布のない単分散ポリ(γ-ベンジル L-グルタメート)(PBLG)の合成を行った。25量体および50量体を用いた^1Hおよび^<13>CNMR観察により、CHCl_3-DCA混合溶媒中ではヘリックス-コイル転移の中点でヘリックスとコイルのピークが共存する、いわゆるダブルピーク型のスペクトルを与えることを確認した。試料は、ペプチドシンセサイザーを用いて調整しているが、重合度の分布に関する定量的なデータはまだない。そこで、MALDI-TOFシステムにより、PBLGサンプル(25、50量体)、およびエステル置換基をもたないPLGサンプル(25量体)の観察を試みた。最適と思われる条件下で得られたスペクトルから、PBLG25量体は、実は24量体で、少量の低分子フラクションも含まれていることが示唆された。PLG25量体の主成分は25量体であった。PBLG50は、単分散度においてPBLG25よりやや低かった。 (2)ポリ(β-フェネチルL-アスパルテート)(PPLA)のα-ヘリックスらせんセンスの反転現象が側鎖の化学構造とどう関わっているのかを明らかにするために、平成13年度、ポリ(p-クロロベンジルL-アスパルテート)(p-CIBLA)を合成して検討を行った。平成14年度は、ペンタフルオロフェネチル基を有するPFPLAについて検討した。この試料はアセトンに溶け、温度上昇によって起る右->左の転移は20〜30℃という低温側に大きくシフトすることが分った。これは、分子内転移に溶媒の特性(誘電率)もまた重要な因子となり得ることを示すものであった。 (3)有機酸存在下におけるPBLGのヘリックス-コイル転移の^2H-^1H交換法による動力学的研究は完了した。慎重に実験を繰り返した結果、CHCl_3-DCA混合溶媒中では、置換反応の速度定数は鎖状分子がコイル、コイル-ヘリックス共存、ヘリックス状態のいずれにあっても、温度の影響を最も大きく受けることが明らかになった。これは、与えられた状態では、温度が低い方が反応が早いとした先行データが誤りであることを示す結果である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] A.Ushiyama, H.Furuya, A.Abe, T.Yamazaki: "The Mechanism of the Helix-Sense Inversion of Polyaspartates as Revealed by the Study of Model Block Copolymers"Polymer Journal. 34,(no.6). 450-454 (2002)