2001 Fiscal Year Annual Research Report
ボーリングに伴う坑井壁面き裂(DTF)の発生機構とその制御法に関する研究
Project/Area Number |
13650982
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00184664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晃司 石油公団, 石油開発技術センター, プロジェクト研究員(研究職)
林 一夫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30111256)
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Keywords | ボーリング / 引張き裂 / 水圧破砕 / 熱応力 / き裂干渉 / き裂リンク / 室内実験 / 液体窒素 |
Research Abstract |
DTFとは,ボーリングに伴って発生したと考えられる坑壁き裂であり,坑井軸に対して一般に傾いた小さなき裂がエシェロン状に坑井軸方向に並んだものである.このDTFは引張破壊で形成されると考えられているが想像にとどまっており,また単に層構造が際だって見えているだけという批判もあって詳細は不明である.そこでDTF発生機構解明のために室内実験によってDTFの発生,成長過程を直接観測することを試みた.すなわち,透明材料で作った200mm3の立方体試験片にボーリングした直径20mmの模擬坑井にDTFを作り,その発生挙動を観察した.この際,試験片側面にはフラットジャッキを用いて地殻応力を模擬した圧縮応力を負荷した.また,水圧負荷ではなく,約-200℃の液体窒素を坑井内に注入し,その冷却による熱応力によってDTFを発生させた.このようにすることで,水圧負荷では出来なかった,準静的にDTFを発生させることが可能になり,同時にDTF発生に及ぼす熱応力の影響を調べることができる.なお,効率良く熱応力を発生させるためには,坑井内部のみを局所的に冷却し,液体窒素が漏れて試験片全体が冷却されることを避ける必要がある.そこで,セルファー型の液体窒素容器から出た液体窒素が坑井の底に吹き出し,坑井壁面を冷却しながら上昇して別の配管から外に排出される構造とした.以上の方法によって,まず,透明材料としてアクリルを用いた実験を行って,予想通りに冷却と共に負荷方向と平行な縦き裂が形成されることを確認した.しかし,この実験によって,アクリルは強度が予想以上に大きく,き裂が発生しにくいことわかった,そこで,これに代わる透明材料として氷のブロックを使うことを試みた.この結果,まだ予備的段階で無負荷条件下ではあるものの,冷却によって坑井周りに無方向性の引張き裂が発生することを確認できた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ito, M.D.Zoback, P.Peska: "Utilization of Mud Weights in Excess of the Least Principal Stress to Stabilize Wellbores : Theory and Practical Examples"SPE Drilling & Completion. Vol.16・No.4. 221-229 (2001)
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[Publications] 伊藤高敏, 岩谷悠平, 林一夫: "坑井壁面の引張き裂(Drilling Induced Tensile Wall Fracture)発生挙動の室内実験による検討"平成14年度資源・素材学会春季大会講演要旨集. (発表予定). (2002)