2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660004
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
吉田 薫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (70183994)
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Keywords | イネ / イノシトール1リン酸合成酵素 / リン / 種子貯蔵物質 / フィチン / 分子育種 / 環境負荷低減 / グルテリン |
Research Abstract |
種子へのリン貯蔵に深く関係する酵素、イノシトール1リン酸合成酵素の機能解析を目的として以下の実験を行った。 前年度の研究により、イネのイノシトール1リン酸合成酵素遺伝子(RINO1)のプロモーターおよびカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターの活性が種子以外の組織でも検出されたことから、種子に含まれるリンの形態の改変を目的とした場合には、若干問題があることが指摘された。 そこで今年度は、より種子特異生の高いプロモーターであるGluB1およびRISBZ1プロモーターの利用について検討することにした.GluB1はイネ種子貯蔵タンパク質グルテリンであり、またRISBZ1はグルテリンの発現を制御する転写因子である。そのため、これらのプロモーターは種子特異的であり,アリューロン層およびサブアリューロン層で発現することが明らかになっている.農業生物資源研究所の高岩博士から譲渡されたグルテリンプロモーター::アンチセンスRIN01を導入した系統(GluB1-A)5系統,グルテリンプロモーター::センスRINO1を導入した系統(GluB1-S)3系統,RISBZ1プロモーター::アンチセンスRINO1を導入した系統(RISBZ1-A)4系統の種子と非形質転換体キタアケの種子中の無機リンおよび全リン量を定量した.その結果,GluB1-S系統は非形質転換イネとほぼ同程度の無機リン濃度(全リン比%)を示したが,RISBZ1-A系統では19.7%,GluB1-A系統では62.8%にまで達する種子が検出され,フィチンが大幅に減少した可能性が示唆された. 以上より,リン貯蔵物質フィチンの合成経路で働くイノシトール1リン酸合成酵素遺伝子の発現を,遺伝子工学的手法を用いて制御することで,種子のリン貯蔵形態の改変、すなわち環境負荷低減植物の可能性を示すことができた.
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Research Products
(1 results)