2001 Fiscal Year Annual Research Report
イネ葉身の毛性が光合成、蒸散および耐旱性に及ぼす影響
Project/Area Number |
13660013
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
和田 義春 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (80201268)
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Keywords | イネ / 光合成 / 蒸散 / 耐乾性 / 毛性 / 葉温 / 陸稲 / Oryza sativa L. |
Research Abstract |
剛毛品種IRAT109,貧毛品種IRAT212および日本の水、陸稲の主要品種コシヒカリ,トヨハタモチ,ゆめのはたもちを供試し,葉身表面の毛をマイクロスコープと走査電子顕微鏡で観察した.剛毛品種であるIRAT109の葉表面には,長さ100〜1000μmの長い毛,長さ50〜150μmの亜鈴細胞上に発生する尖った毛,長さ10〜50μmの葉表面にほぼ垂直にのびる小さく尖った毛,長さ30〜60μmの気孔列のまわりのいぼ状突起の間から発生している2細胞性とみられる毛,および葉縁に発生する長さ100〜400μmの毛の,明らかに形状を異にする5種類の毛が判別できた.これらのうちで長さ100〜1000μmの長い毛はIRAT212や供試した日本の品種には認められなかったので,この毛がIRAT109の剛毛性を特徴づける毛と判断された.貧毛品種であるIRAT212の第11葉葉身中央部では気孔列のまわりのいぼ状突起の間から発生している毛以外は観察されなかった.剛毛性のIRAT109と貧毛性のIRAT212の光合成速度,蒸散速度,葉伝導度および葉温を同一条件で比較したところ,IRAT109では,明らかに葉伝導度が小さく,光合成,蒸散速度が低く,葉温が高かった.また,光-光合成曲線の比較から,剛毛性のIRAT109では日射の被陰効果が推測された.これらの点については次年度さらに精密に定量的な解析を行う予定である.さらに,剛毛性のIRAT109と貧毛性の2品種IRAT212およびIAC25を供試して交配を行い,正逆交雑で計4種類のF1種子を各30粒余り得た.次年度は,これらのF1植物を加えて毛性の遺伝性と光合成,蒸散など生理機能への毛性の影響を調査するとともに,F2種子を作出する予定である.
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Research Products
(1 results)