2003 Fiscal Year Annual Research Report
家畜ふん尿処理液利用による環境保全型果菜類栽培システムの開発
Project/Area Number |
13660026
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
糠谷 明 静岡大学, 農学部, 教授 (10109134)
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Keywords | 家畜ふん尿 / トマト / コマツナ / 環境保全 / 底面給液栽培 / 養液栽培 / 液肥栽培 |
Research Abstract |
牛糞尿処理液の生育阻害要因として無機組成のアンバランス、高塩類濃度に加え高pH、何らかの生育抑制物質の存在が考えられる。牛糞尿処理液を用いた数種類の葉菜類を栽培試験し、コマツナ(Brassica campestris L.)'わかみ'を栽培試験に用いた。 牛糞尿処理液濃度を変えて栽培試験すると、濃度が高くなるにつれて生育が抑えられた。牛糞尿処理液と同じ無機成分組成の同一無機組成培養液をつくり栽培試験をすると無機組成が同一にもかかわらず牛糞尿処理液では生育が抑えられた。よって牛糞尿処理液中には無機成分組成以外に生育を阻害する要因が存在する可能性が考えられた。そこで牛糞尿処理液と同一無機組成培養液とを比率を変えて混合しpH8.8にしたところ、処理区によって生育に差が生じなかった。そこで高pHが生育阻害要因と断定するために、もう一度同じ栽培試験を、栽培ベッドを連続しておこなったところ、牛糞尿処理液の比率が高くなるほど生育が抑制された。これは1作目と2作目の牛糞尿処理液の保存方法が異なるために違う結果となったことが分かった。 幼植物検定の結果より、牛糞尿処理液のpHを下げると生育が良好になる結果をふまえ、実際の栽培での牛糞尿処理液のpH低下の影響を検討するためと何らかの生育抑制物質の可能性を検討するために、牛糞尿処理液と同一無機組成培養液の混合比率を変えpH低下処理をしたところ、牛糞尿処理液の混合比率が高くなるにつれて生育が抑制され、pH低下処理においては生育に改善はみられなかったが、葉色に向上が見られた。 よって高pH以外にも何らかの生長抑制物質といった生育阻害要因が考えられた。以上の栽培試験の結果より、生育阻害要因やその除去方法を明らかにすることで牛糞尿処理液の果菜類栽培における培養液としての利用可能性が増すと考えられる。
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