2002 Fiscal Year Annual Research Report
低コスト貯蔵による青果物の緑色保持と退色機構に関する研究
Project/Area Number |
13660030
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Research Institution | Faculty of Agriculture, Kobe University |
Principal Investigator |
寺井 弘文 神戸大学, 農学部, 教授 (30110802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康生 神戸大学, 農学部, 助手 (30335426)
朴 杓允 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (20147094)
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Keywords | ブロッコリー / 緑色保持 / エタノール蒸気処理 / エチレン / クロロプラスト / ピーマン / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1)昨年度は適切な濃度のエタノール蒸気がブロッコリーのエチレン生成を抑制し、緑色保持に有効であることを報告した。一方、高濃度のエタノール蒸気は黄化の進行を抑制するが、小花に異臭が発生し、ガクの緑色が黒ずむなど異常をもたらすことを認めた。本年度は同処理による黄化抑制の機構ならびに異常の発生の原因解明を目的とし、細胞変性とクロロプラストの形態変化を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて調査した。その結果、ブロッコリーの緑色保持に最適な濃度のエタノール蒸気処理は細胞構造に異常を引き起こすことなく、クロロプラストからクロモプラストへの変化を遅らせることを明らかにし、高濃度の処理は細胞膜の破断、原形質分離・クロロプラストの包膜の破断など細胞構造の崩壊を引き起こし、異臭の発生や小花の緑色の黒ずみなどの原因になることを示唆した。 2)最近市場でよく見かけるカラーピーマンの緑色の退色と赤色の着色に関し、収穫後の貯蔵中の成熟を想定し、クロロプラストからクロモプラストへの変遷ならびにカロチノイドの蓄積についてその機構を解明する目的で電子顕微鏡により研究を行い、以下の結果を得た。成熟の進行と共にクロロプラストのグラナやストロマチラコイドは減少し、節をもつ管状の構造体(チュウブル構造体)が増加し、クロロプラスト/クロモブラスト内の多くを占めるようになり、カロチノイドを多く含むといわれるフィブリル構造体もみられた。走査型電子顕微鏡(SEM)観察によりチュウプル構造体はチラコイド膜から直接生成されることが明らかになった。これらのサブオルガネラの量的な推移を電顕計測学的手法を用いて調査したところ、グラナチラコイドとストロマチラコイドは減少し、ベジクル、シングルチラコイド、オイルドロップレット、チュウブル構造体とフィブリル構造体は増加することが明らかになった。これによりSEMとTEMによる観察結果が統計的に裏付けられ、カロチノイドの蓄積機構の一端が明らかになった。
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Research Products
(1 results)