2002 Fiscal Year Annual Research Report
モモ核割れの発生機構の解明と発生回避による収穫期直前落果の防止
Project/Area Number |
13660035
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中野 幹夫 京都府立大学, 農学研究科, 助教授 (10093692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本杉 日野 京都府立大学, 農学研究科, 講師 (10182172)
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Keywords | モモ / 核割れ / 摘蕾 / 着果率 / 果実肥大 / 加圧注水 / 耐圧力 |
Research Abstract |
'紅清水'を用い3月中旬に約5分の4の蕾を除く摘蕾区を設けた.満開(4月3日)約20日後から40日後まで急速に落果し,最終着果率は無処理の対照区が10%,摘蕾区は25%であった.果径にも区間差を生じ,6月25日には対照区の47.7mmに対し摘蕾区は58.9mmと,約1.23倍であった.7月中〜下旬に収穫した果実重は対照区が234gに対し287g,糖度は9.0に対し9.8と,摘蕾区が大きかった.しかし,種子重は対照区の0.95gに対し0.78g,胚重は0.65gに対し0.51gと,対照区が大きかった.この差の原因は核割れによる種子の発育不全に基づくと考えられ,縫合線割れ率は対照区の7.1%に対し33.9%と摘蕾区が明らかに高く,種子の壊死率も12.5%対28.6%,褐変率も21.4%対50.0%,"しいな"率も3.6%対10.7%と,摘蕾区が高かった. 果梗からの加圧注水によって核の耐圧力を比較した(プレッシャーチャンバー内のシリンジにサフラニン溶液を入れ,チャンバー外の果梗から核内へ針を挿入して1MPa/minの条件で加圧し,既核割れ果は除外).両区とも耐圧力は果実発育と共に増したが,6月24日では対照区が1.66±0.18MPa,摘蕾区は1.02±0.08MPaと,この時期までは対照区が大きかった.両区の果実で縦径と耐圧力との関係をみると,果実が大きいほど耐圧力は小さい傾向を示し,相関係数はr=0.537^*(n=34)であった. これらのことから,何らかの方法で果実肥大を促すと,果肉組織の拡大による核への引張力が増大すると共に,核縫合部における物理的強度の進行も抑制されると考えられた.したがって,大果生産を目的とした果実肥大促進には,その時期と程度に関して十分な注意が必要である.
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