2001 Fiscal Year Annual Research Report
アグロバクテリウムの植物腫瘍遺伝子6bによる宿主防御遺伝子PR1aの発現抑制機構
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13660055
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
我彦 広悦 秋田県立大学, 生物資源科学部・付属生物工学研究所, 教授 (10191842)
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Keywords | 6b遺伝子 / タバコ / PR1 / フェノール化合物 / サリチル酸 / オーキシン / サイトカイニン |
Research Abstract |
植物は病原体に感染すると種々の防御反応を行う。そのうちの代表的なものの一つにPR(Pathogenesis Related)遺伝子群の発現誘発がある。一方、根頭癌腫病の原因病原体であるアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens AKE10株)は植物腫瘍誘発遺伝子の一つとして6b (AK-6b)を持つ。本研究ではAK-6b遺伝子を導入したタバコでのPR1の発現の動態を調べることを目的とする。これまでカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモターに制御されたAK-6bを発現するいくつかのトランスジェニックタバコにオーキシン、サイトカニンを投与したところ、PR1 mRNA量とAK-6b mRNAの蓄積には逆の相関があることがわかった。従って、AK-6b遺伝子の発現によりPR1mRNAの蓄積が抑制されていることがわかる。さて、フェノール化合物の一種であるサリチル酸はPR1遺伝子発現を誘発することが知られている。一方我々はAK-6b-トランスジェニックタバコに植物ホルモンを投与すると内生フェノール化合物の動態が野生型タバコに比べ大きく変化することを見い出した(我彦ら、2001)。そこで、AK-6b-タバコでPR1mRNAの蓄積が減少しているの内生サリチル酸の量が減少している可能性がある。しかしサリチル酸のレベルはいずれも正常であった。したがって、AK-6b遺伝子によるPR1遺伝子の発現抑制には未知の機構が働いているかの性が示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] J.Kaneyoshi, H.Wabiko, S.Kobayashi, T.Tsuchiya: "Agrobacterium tumefaciens AKE10-mediated transformation of an Asian pea pear, Pyrus betulaefolia Bunge : host specificity of bacterial strains"Plant Cell Reports. 20. 622-628 (2001)
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[Publications] 我彦広悦, Galis Ivan, 垣内康孝: "アグロバクテリウムの腫瘍形成遺伝子による植物細胞の脱分化、再生機構"植物の生長調節. 36. 24-34 (2001)