2001 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア産キュウリモザイクウィルスの分子的多様性と環境適応の出現に関する研究
Project/Area Number |
13660057
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
夏秋 啓子 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80164482)
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Keywords | キュウリモザイクウイルス / 熱帯 / 多様性 / インドネシア / 塩基配列 |
Research Abstract |
1)インドネシア産バナナから分離したキュウリモザイクウイルス2分離株(B1およびB2)について、主としてRNA3の塩基配列を明らかにし、既報の温帯産CMVと比較した。その結果、外被タンパク質のアミノ酸配列は、台湾産CMVを含めた温帯産CMV4分離株との相同性が96%以上と高いが、全塩基配列では、インドネシア産CMV分離株相互の相同性は高いものの、他の分離株との相同性はやや低かった。しかし、Cucumovirus用ユニバーサルプライマー(Chol et al, 1999)を作成してRT-PCRを試みたところ、いずれも単一のバンドとして検出された。また、B2は、タバコなどでの病徴は常に激しいが、トマトでは品種によって感染性に強弱があった。また、タバコでの病徴発現と温度との関係では、18度、25度での病徴に明確な相違は認められなかった。また、サテライトRNAも検出されなかった。 2)サテライトRNAを含み、日本産CMVの防除に実用化されている複数の弱毒ウイルス(日本テルモンテ社提供)をトマトに接種し、インドネシア産CMV(B2)を二次接種したところ、干渉効果が認められ発病が抑制された。 3)フィリピンではフィリピン大学のN.Bajet博士の協力を得て7月26日から8月1日にルソン島を中心に調査を行った。CMVに感染している可能性の有るバナナ、アバカ、トマト、チャヨーテなどのモザイク症状株を採集し、農林水産省の特別許可を得て輸入し、ELISA法あるいはウエスタンブロット法でCMVの検出を試みた。その結果、ELISA法によってアバカからのみCMVが分離されたが、アバカでのCMVの報告例は見当たらないため接種試験を実施中である。なお、その他の試料では、キュウリ緑斑モザイクウイルス、ズッキーニ黄斑ウイルスあるいはその近縁Potyvirus属ウイルスが検出された。
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