2002 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛バクテリオクロロフィル含有光合成細菌による光利用性の解析
Project/Area Number |
13660073
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
若尾 紀夫 岩手大学, 農学部, 教授 (30003784)
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Keywords | 亜鉛バクテリオクロロフィル / 好酸性好気性光合成細菌 / Acidiphilium属 / 電気化学的測定 |
Research Abstract |
光合成において重要な働きをしている(バクテリオ)クロロフィル色素[(B)Chl]は、中心金属として例外なくマグネシウム(Mg)を含むと考えられていたが、近年、亜鉛(Zn)を持つバクテリオクロロフィル(Zn-BChl)が天然界に存在し正常に機能しているという従来の常識を覆す発見がなされた。この新規光合成色素を持つ好酸性好気性従属栄養細菌(Acidiphilium属)の光化学反応中心タンパク複合体(RC-LH系)は、真正紅色光合成細菌のものと酷似するが、Mg-BChlは全てZn-BChlに置換されていることが明らかになっている。 前年度は,Acidiphilium属細菌を用いて光エネルギーの化学エネルギーへの変換(電子移動)を解析するための電気化学的測定法や細菌の培養条件などについて検討し、極微少電流として検出できることを明らかにした。また光合成系の重要な機能は、光エネルギーから生成されたATPを用いて炭酸固定に必要な還元力(NADPH)を生成し、最終的には二酸化炭素(CO_2)から有機物を合成する反応である。今年度は、Zn-BChl光合成系におけるATP生成、還元力生成、及び炭酸固定の問題について検討した。 その結果、供試菌(細胞または細胞膜)を用いた実験系においては、ATP生成と還元力(NADPH)生成は光照射に依存すること、また放射性同位元素(^<14>C)を用いた解析によって光照射が炭酸固定を促進することを証明した。今迄の実験結果から、好酸性好気性光合成細菌(Acidiphilium属)のZn-BChl光合成系でも、真正紅色光合成細菌などの光合成細菌と同様にエネルギー移動、電荷分離、電子移動(光リン酸化とATP生成)、触媒反応(還元反応と炭酸固定)が起こり得ることを確認した。
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