2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日高 真誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50183918)
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Keywords | 生物窒素固定 / イネ / スフィンゴモナス / 生物窒素肥料 / Sphingomonas paucimobilis / Klebsiella oxytoca |
Research Abstract |
現代農業は大量の化学窒素肥料に依存しており、このことが化石燃料の大量消費、環境の富栄養化、温暖化の促進などという地球環境へかける負荷につながっている。そこで、この体質を改善するために世界的に見直されているのが、生物窒素固定を活用して必要な窒素源を現場で供給していくことである。スフィンゴモナス属窒素固定菌は当初イネ根圏から分離されたものであるが、その後イネの葉表面や葉内部からも分離されたことから、この菌は根圏と植物体内部の両面からイネに窒素を与える効率的な生物窒素肥料になりうる菌であると考えられる。 そこで本年度は、申請者が研究に用いているSphingomonas paucimobilisがイネ(日本晴と豊雪矮性)のどの部位にコロナイズする性質を持つのかを解析するために、本菌にGFP遺伝子を導入して標識することを目指した。本菌で機能することをあらかじめ調べたクロラムフェニコール抵抗性遺伝子のプロモータを用いてGFP遺伝子を構成的に発現させることを試みたが、現在のところまだGFPを生産するS.paucimobilisを得るには至っていない。ただし、本菌の改変とともに同時に行ったイネ根圏窒素固定菌の代表菌Klebsiella oxytocaにおいてはGFPを構成的に発現させることに成功し、この菌を用いて解析を進めることで、K.oxytocaがイネの根の表面にコロナイズするという新しい知見を得るに至っている。このことより、イネ根圏窒素固定菌はイネとかなり密接な関係を保ちながら生育し窒素固定を行うことが明らかとなった。また、イネ根圏への窒素固定菌の接種が窒素源を制限したイネの生育を直接的に促進することも観察し、イネ根圏窒素固定菌の生物窒素肥料化への可能性を確認するに至っている。
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