2001 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の環状アミド代謝を利用した機能付加型物質生産プロセスの開発
Project/Area Number |
13660089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
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Keywords | 環状アミド / 環状イミド / ピルビン酸 / フマル酸 / TCAサイクル / L-リンゴ酸 / ブロモピルビン酸 / Pseudomonas putida |
Research Abstract |
微生物の環状アミド代謝を物質生産に応用する研究に関して、本年度は環状アミド代謝中間体フマル酸からのピルビン酸生産について以下に示す成果を得た。 500mMのフマル酸から約290mMのピルビン酸を生産しうるPseudomonas putida s52株を親株とし、NTG処理によるピルビン酸高生産変異株の取得を試みた。高生産菌の選抜に有効なアナログの探索を試み、種々の化合物、特にTCAサイクルの阻害剤を中心に、フマル酸からのピルビン酸生産を特異的に阻害する化合物を探索した。その結果、Malic enzymeの阻害剤であるBromopyruvateが、フマル酸からのピルビン酸生産を特異的に阻害し、代謝中間体であるL-リンゴ酸の蓄積をもたらすことを見いだした。s52株の生育に対するBromopyruvateの影響を検討したところ、Bromopyruvate濃度0.5%以上でs52株の生育が顕著に阻害されることが判明した。これらの結果をもとに、2% Bromopyruvateを含む栄養培地にて生育可能なBromopyruvate耐性変異株を取得し、フマル酸からのピルビン酸生産能を評価することとした。約2500株のBromopyruvate耐性変異株について検討を行った結果、ピルビン酸生産性が顕著に上昇した変異株15160株を得た。15160株は、親株s52株では生産性が低下する高いフマル酸濃度においても良好なピルビン酸生産性を示し、1000mMのフマル酸から38時間の反応にて560mMのピルビン酸を生産した。また、良好な生産性を得るには、反応時のpHを中性(pH7.5付近)に維持すること、および、通気量を高く保つことが効果的であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小川 順: "微生物における環状アミド代謝の多様性とその応用"化学と生物. 39(5). 333-339 (2001)
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[Publications] J.Ogawa et al.: "Enzymatic production of pyruvate from fumarate -an application of microbial cyclic-imide-transforming pathway -"J. Molec. Catal. B : Enzymatic. 11. 355-359 (2001)