2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物毒素コロナチンをプローブとした植物オクタデカノイドシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
13660102
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
戸嶋 浩明 茨城大学, 農学部, 助教授 (50237088)
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Keywords | 植物毒素 / コロナチン / オクタデカノイド / ジャスモノイド / ジャスモン酸 / シグナル伝達系 / 結合タンパク質 / 分子プローブ |
Research Abstract |
植物オクタデカノイドシグナル伝達系とは植物ホルモンの一種ジャスモン酸とその関連化合物(ジャスモノイド)を包含する一連のカスケードによる植物の生理機能制御に関わる重要なシグナル伝達系である。植物毒素コロナチンはオクタデカノイド/ジャスモノイド化合物と同様でかつ強い植物生理活性を示す。したがって、コロナチンは本シグナル伝達系解明の最も有望なプローブとしての潜在性を持っている。 従来開発したコロナファシン酸の不斉合成法により1〜2グラムスケールのコロナファシン酸の合成を達成した。コロナミン酸とのアミド化により大量のコロナチンを合成することが可能となった。コロナチンのケトンおよび二重結合を還元した化学的に安定なアナログを合成した。それらのアナログによる植物の防御機構に関わるオクタデカノイドシグナル伝達系への作用として、イネ葉揮発性成分誘導活性およびファイトアレキシン誘導活性を検討したところ、コロナチン自身よりも活性が強くなることを明らかにした。コロナチンのカルボキシル基からアミド型またはエステル型のスペーサーは直接導入できないことが判明したため、コロナミン酸にスペーサーを導入した後にコロナファシン酸とアミド化することで各種プローブへの変換が可能となった。スペーサーの長さを最適化後、ビオチン、蛍光発色団、光親和性標識、放射性標識を導入し、アフィニティークロマトグラフィーへの展開と合わせて結合タンパク質との相互作用の解析を行なうプローブの基盤が確立された。今後、プローブ化合物の合成と平行してイネ以外の植物に対する種々の生理活性試験(オクタデカノイド/ジャスモノイド活性)により植物材料を選び、コロナチンおよびオクタデカノイド結合タンパク質の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)