2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660106
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西川 司朗 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 穣 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (20242935)
|
Keywords | サイトカイン / 炭素置換体 / 1-デアザプリン / タバコカルス / ヒモゲイトウ試験 / パラジウムカップリング |
Research Abstract |
アデニン誘導体であるサイトカイニンは植物の生育を顕著に促進し、化学調整剤として農業に広く利用されている。アデニン骨格の窒素原子を炭素原子で置換した、炭素置換誘導体がより強力な活性を示すことが期待され、新規な1・デアザプリン誘導体の開発を行った。ジアミノピリジンから出発して10段階の反応で目的の6-アルキニル・1-デアザプリンおよびそのリボシドを合成した。 また、各反応行程を見直して収率の改善に努め、調製的反応が可能になった。そのため、側鎖に脂肪族置換を持つ6・アルキニ・1-デアザプリン誘導体数種および、置換フェニル基を持つ同様なアルキニル誘導体を合成することができた。また、置換フェニル基を持つアルキニル体に対してメチルメルカプタンを付加させ、三重結合を容易に二重結合に導いた。生成した(Z)-および(E)-体の立体配置をNMRで確認した。 また、7-デアザプリンはサイトカイニン活性を阻害する(アンチサイトカイニン活性)ことが期待されるので、これらの新しい誘導体を設計し、6・アルキニル-7・デアザプリン誘導体を合成した。さらに、メチルメルカプタンを付加して(Z)-および(E)-アルケニル体に誘導し、新規化合物を含め10個を超える化合物を合成した。これらの1-および7-デアザプリン誘導体についてサイトカイニン活性とアンチサイトカイニン活性をタバコカルス検定試験およびヒモゲイトウ試験で調べた。その結果、カスル検定でm-メトキシフェニルエチニル-1-デアザプリンの活性がこれまでに合成されたフェニルエチニル-1・デアザプリンより強いことが明らかになった。このことから、こんご新しい分子デザインを試みればさらに活性の向上が期待される。 これに対して1-デアザプリンのメルカプタン付加物は、サイトカイニン活性が低下した。一方、7-デアザプリン誘導体は殆どサイトカイニン活性を示さなかった。その原因としてこれらの化合物は疎水性が強い物質であるためと考えた。サイトカイニンおよびアンチサイトカイニン活性のいずれを発現するためにも化合物に適度な親水性を付与することが必要であることが判った。
|