2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化シスチンによる二次的生体酸化傷害機構の解析と食品因子によるその制御
Project/Area Number |
13660120
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Research Institution | OCHANOMIZU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (00244533)
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Keywords | 酸化シスチン / 酸化ストレス / レドックス制御 / 脂質ペルオキシド / ワサビ / イソチオシアネート / グルタチオン / 含硫アミノ酸 |
Research Abstract |
1)酸化シスチン生成に関与する生体内酸化因子の特定:活性酸素種の中で酸化修飾タンパク質からの酸化シスチン生成量が最大であったものは、フェントン反応系(銅イオン+過酸化水素)によるヒドロキシラジカルであった。しかし、特定の疾病を除き銅イオンが生体内に多く存在することはないと考え、金属イオン非存在下における反応系にて酸化シスチン生成量を再検討した。その結果、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)が最も効率良く酸化シスチンの生成を引き起こした。同じ過酸化物である過酸化水素よりも約5倍の選択性で酸化シスチンと酸化メチオニン(メチオニンスルホキシド)が生じた。故に、LOOHは含硫アミノ酸残基に選択的な生体内酸化因子であると考えられた。 2)酸化シスチン含有タンパク質による生体成分の酸化障害:アミノ酸分析により酸化シスチンと酸化メチオニンを含有するインシュリン、ウシ血清アルブミンとヒト血清タンパク質を調製した。どの酸化タンパク質においても、単独では変化がなかったのに対し、グルタチオンなどのチオール存在下で各酸化タンパク質は断片化し活性酸素の生成が認められた。酸化含硫アミノ酸残基は、局所的な活性酸素の生成に関与する能動的な酸化ストレスマーカーであると示唆された。 3)ワサビイソチオシアネートによる細胞内酸化ストレスと第二相解毒酵素誘導:細胞内グルタチオンとの反応から活性酸素生成を引き起こす食品因子の探索を行った。ネギ属野菜類とアブラナ科野菜に強い細胞酸化ストレス能を認めた。特にワサビイソチオシアネート(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)による細胞内活性酸素生成量は大きく、ラット肝由来RL34細胞では高濃度で細胞死が、極低濃度では第二相解毒酵素誘導が起こった。ニンニクの含硫化合物についても同様の結果が得られている。
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[Publications] Yasujiro MORIMITSU: "A sulforaphane analogue that potently activates the Nrf2-dependent detoxification pathway"Journal of Biological Chemistry. 277・5. 3456-3463 (2002)
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[Publications] Yasujiro MORIMITSU: "Wasabi : a traditional Japanese food that contains an exceedingly potently glutathione S-transferase inducer for RL34 cells"ACS Symposium Series (Free Radicals in Food Chemistry, Nutrition and Health Effects). 807. 301-309 (2002)
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[Publications] 森光 康次郎: "ワサビ中の第二相解毒酵素誘導物質に関する研究"News Letter(日本がん予防研究会). No.32(6月号). 5-6 (2002)
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[Publications] 森光 康次郎: "イソチオシアネート類の第二相解毒酵素誘導による発癌抑制"医学のあゆみ. 204・1. 80-84 (2003)