2002 Fiscal Year Annual Research Report
味情報伝達機構におけるセカンドメッセンジャー系のクロストークに関する研究
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13660123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由佳子 京都大学, 農学研究科, 講師 (60212156)
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Keywords | 味覚 / マウス / パッチクランプ / うま味 / 苦味 / クロストーク / 環状ヌクレオチド / IP_3 |
Research Abstract |
味細胞は、味情報を神経伝達物質によって味神経に伝えている。神経伝達物質放出のための細胞内カルシウムの増加は基底膜上の膜電位依存性や環状ヌクレオチド(cNMP)依存性チャネルを通る細胞外からの流入と、イノシトール1,4,5-トリスホスフェート(IP_3)依存性のカルシウムチャネルによる細胞内ストアーからの動因が考えられている。受容体が関与していると考えられる苦味・うま味・甘味のうち甘味は苦味と類似情報伝達機構をもつということから甘味と苦味を同じカテゴリーとし、本研究では特に、苦味とうま味に関して、マウスの味細胞を用いパッチクランプ法で平成14年度は以下の事を行った。 苦味-デナトニウム応答はcAMPとIP_3両方によって応答が伝達されていることがわかっているが、情報変換系で上流にあると想定されるGタンパク質の活性化抑制剤であるGDP-βsを細胞内に導入しても半数の細胞で応答に影響がなかった。この影響を受けない応答は、細胞内カルシウムストアのカルシウムを枯渇させることで消失するので、Gタンパク質を介さない情報伝達系がcAMP系やIP_3系とクロストークしている可能性が考えられ苦味情報を低濃度の時と緊急時に当たる高濃度では情報の運搬をショートカットする役目をする違う系があると考えられた。 うま味-うま味の指標である核酸とグルタミン酸の応答の相乗効果は味細胞のレベルで起こっていることを以前報告した。この相乗効果がGタンパク質を介して行われているかどうかをGDP-βsを細胞に導入することによって調べた。その結果、Gタンパク質を阻害するとグルタミン酸応答とグルタミン酸・核酸応答がなくなることを示した。このことからうま味応答は受容体-Gタンパク質-セカンドメッセンジャーによって情報が運ばれることを示した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 井關桂子, 林由佳子, 森友彦: "うま味トランスダクションにおけるGタンパク質関与の検討"日本味と匂い学会誌. 9・3. 673-676 (2002)
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[Publications] 澤野祥子, 林由佳子, 森友彦: "苦味物質デナトニウムの情報伝達機構にはGタンパク質が関与しない経路も存在する"日本味と匂い学会誌. 9・3. 761-764 (2002)