2003 Fiscal Year Annual Research Report
お茶はなぜガン細胞の細胞死を特異的に引き起こすか-細胞内シグナル伝達の及ぼす影響-
Project/Area Number |
13660133
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
湯浅 勲 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (50094488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 明子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (90295709)
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Keywords | 緑茶抽出物 / アポトーシス / 細胞内活性酸素種 / 細胞増殖能 / 抗酸化酵素系 / 腫瘍血管新生 / 血管内皮増殖因子 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
緑茶抽出物およびその主成分である緑茶ポリフェノールがガン細胞増殖抑制作用を有することはよく知られている。しかし、その作用メカニズムについてはいまだ十分に明らかになっていない。我々は、緑茶抽出物とその主成分である緑茶ポリフェノールのうち、エピガロカテキンがガン細胞をアポトーシスさせること、そしてその作用機序として、細胞内グルタチオンの減少、MAPキナーゼ活性の促進、ミトコンドリアからのチトクロームcの遊離の促進とその結果起こるカスパーゼ活性の促進が起こることを明らかにしてきた。さらに昨年度の研究において、細胞内の活性酸素種とMAPキナーゼを活性化させる酵素であるASK1とチオレドキシンとの相互作用に及ぼす緑茶抽出物の影響について検討し、緑茶抽出物によって増加した細胞内活性酸素種によってアポトーシスにおけるシグナル伝達経路の中枢を担っているASK1-チオレドキシン複合体の解離が起こり、それによりガン細胞のアポトーシスが起こることを明らかにした。 今年度の研究においては、さらにその詳細な作用機序について検討するために、(1)ガン細胞および正常細胞の細胞内活性酸素種におよぼす緑茶抽出物の影響と(2)主要血管新生におよぼす緑茶抽出物の影響とその作用機序について検討した。その結果、緑茶抽出物はガン細胞に対して特異的に細胞生存率および細胞増殖能を抑制したこと、さらに緑茶抽出物を30分間暴露させることによって、ガン細胞におけるDNA合成能の有意な抑制と、これに引き続いて細胞内活性酸素種の増加と不可逆的なミトコンドリア膜電位の低下が誘導されたことから、緑茶抽出物天下後30分以内に細胞増殖抑制のスイッチが入り、ガン細胞の増殖が抑制されたことを明らかにいた。また、ガン細胞の抗酸化系酵素の活性は正常細胞と比較して低値であった。これらのことから、ガン細胞はミトコンドリアなどに存在する抗酸化系酵素の活性が低いために、緑茶抽出物によって生じた活性酸素種を消去できず、レドックスバランスに変化を生じ、さらに細胞の重要な部位であるミトコンドリアの機能を低下とそれに引き続くシグナル伝達によって、細胞死および増殖抑制へと誘導されることを示唆した。 また、ヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた腫瘍血管新生におよぼす緑茶抽出物の作用を検討したところ、血管内皮増殖因子(VEGF)のレセプターであるFlt-1およびKDR/Flk-1の発現を低下させることにより、腫瘍血管新生を抑制することを見出した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] A.Kojima-Yuasa, J.J.Hua, D.O.Kennedy, I.Matsui-Yuasa: "Green tea extract inhibits angiogenesis of human umbilical vein endothelial cells through reduction of expression of VEGF receptors"Life Sciences. 73. 1299-1313 (2003)
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[Publications] T.Arimura, A.Kojima-Yuasa, S.Watanabe, et al.: "Role of intracellular reactive oxygen species and mitochondrial dysfunction in evening primrose extract-induced apoptosis in Ehrlich cells"Chemico-Biological Interactions. 145. 337-347 (2003)
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[Publications] A.Kojima, T.Ohkita, K.Yukami, H.Ichikawa, et al.: "Involvement of intracellular glutathione in zinc deficiency-induced activation of hepatic stellate cells"Chemico-Biological Interactions. 146. 89-99 (2003)
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[Publications] T.Arimura, A.Kojima-Yuasa, M.Suzuki, D.O.Kennedy, et al.: "Caspase-independent apoptosis induced by evening primrose extract ib Ehrlich ascites tumor cells"Cancer Letters. 201. 9-16 (2003)
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[Publications] T.Arimura, A.Kojima-Yuasa, D.O.Kennedy, I.Matsui-Yuasa: "Reactive oxygen species-independent G1 arrest induced by evening primrose extract in Ehrlich ascites tumor cells"Cancer Letters. 印刷中.
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[Publications] 久保田芳美, 湯浅(小島)明子, 湯浅勲: "緑茶抽出物におけるヒト肝ガン細胞の増殖抑制効果におよぼすROS産生の役割"生活科学研究誌. 2. 39-48 (2004)
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[Publications] 湯浅勲, 小島明子(村松敬一郎, 小国伊太郎, 他3名編): "茶の機能-生体機能の新たな可能性-"学会出版センター. 425 (2002)