2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660150
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
高原 光 京都府立大学, 農学部, 教授 (30216775)
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Keywords | 氷期 / 間氷期 / 植生変遷 / 気候変動 / 酸素同位体ステージ / 花粉分析 / 火山灰 / AMS |
Research Abstract |
京都府船井郡八木町の神吉盆地水田において,オールコアの機械ボーリングを行い深度46.35mの堆積物を採取した。合計70本のコアを得て,それぞれ,堆積物の層相を記載し,柱状図を作成した。これによると,表層の60cmは耕作土など撹乱された層であるが,それ以下は,ほとんど泥炭,泥炭質粘土で構成されている。Takahara(2000)により,放射性炭素年代測定が可能な深度について,4点のAMS放射性炭素年代測定を行った。また,火山灰層が少なくとも10層認められた。これらの,年代および火山灰層の分析の結果は以下のとおりである。 AMS放射性炭素年代測定結果 火山灰分析の結果 深度2.74m 39390±1120yrB 深度13.6m Aso4火山灰(約8.9万年前) 深度4.24m 43700±1440yrBP 深度15.1m KT-Z火山灰(約9.5万年前) 深度4.495m 44390±1570yrBP 深度26.0m 大山系火山灰 深度6.15m >46760yrBP 深度26.7m 大山系火山灰 深度27.7m 大山系火山灰 深度28.9m 大山系火山灰 以上の年代値から,今回採取した堆積物は少なくとも過去30万年間の自然環境の歴史を記録している。本研究では,気候変動に伴う植生の変化を,過去の氷期・間氷期の1サイクル(過去15万年間)について解明する目的であったが,上記のように予想をこえて30万年間の堆積物を採取することができた。さらに,採取した堆積物はほとんどが泥炭であり,材や植物遺体を多く含んでいる。次年度以降におけるこの堆積物の花粉分析,大型植物遺体分析などによって,詳細な植生変遷を解明することが出来る。これまで日本列島で採取された堆積物のなかでも最も貴重なものの一つといえよう。
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