2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660191
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
井田 齊 北里大学, 水産学部, 教授 (90050533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 隆夫 茨城県水面水産試験場, 河川部, 主任
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 講師 (80208636)
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Keywords | アユ / 耳石 / DNA / 霞ヶ浦 / 陸封 / 成長 / 日周輪 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
霞ヶ浦水系のアユは、1974年の水門閉鎖以前から湖内での分布が確認されていたがその数はごくわずかであった。しかし、水門閉鎖から20年経った1992年に突如として多獲されるようになった。本研究はその増加原因や個体群維持の機構に関する基礎的知見を得て、その保全と利用に資することを目的としている。本年度は耳石による成長解析とミトコンドリアDNA分析による遺伝的多様性の検討を行った。まず耳石日周輪の間隔から個体の成長を推定し、霞ヶ浦水系アユと近隣の海産アユの成長を比較した。その結果、水深が浅いゆえに湖内で水温の低下が著しい冬期2月頃に成長が極めて低下し、耳石には輪紋が観察されない透明帯が形成されていた。一方春から初夏にかけての成長は急速で海に降りたアユを凌駕した。湖水は海よりも水温の上昇が急速で、かつ餌となる動物プランクトンも豊富であることによると考えられた。その結果河川遡上期には海に降った海産アユと同程度以上の体長に成長していた。透明帯を形成していない1月までに採られたアユ仔稚魚の日輪数からふ化日を推定したところ、10月から11月と推定された。また、水系内と接続河川である利根川のアユの遺伝的多様性をミトコンドリアDNAの調節領域350塩基対の配列を比較することによって行ったところ、両者に差はみられなかった。この知見は霞ヶ浦水系アユ集団の設立に関して、接続河川である利根川の海産アユが堰を越えて水系内に一時に多数入ってきたという仮説と矛盾しない。
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