2002 Fiscal Year Annual Research Report
魚類I型コラーゲンの一次構造の熱不安定性に関する研究
Project/Area Number |
13660205
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Research Institution | Fukui Prefectual University |
Principal Investigator |
吉中 禮二 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70026483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 尚志 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (30254246)
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Keywords | 魚類 / コラーゲン / 一次構造 / 熱分解 / ゼラチン / ペプチド |
Research Abstract |
コラーゲンに対し比較的強い熱処理(高温、長時間)を加えると、各サブユニットのペプチド結合が切断され、ペプチドが生成することが知られている。本研究では、コラーゲンの熱分解の機序を解明することを目的として、ニジマス皮膚から抽出したコラーゲンを用いてコラーゲンの熱挙動を調べた。 ニジマス皮膚から常法により酸可溶性コラーゲン(ASC)を調製し、それを5mM酢酸に溶解して試料液とした。これを用いて、各種条件下における分解の様態の差異についてSDS-PAGEにより検討した。具体的にはpH(2〜11)および尿素濃度(0〜8M)の影響を調べた。加熱により生成するペプチドの性状解明の一環として、ASCより精製したα1(I)鎖を加熱処理して生成したペプチドのN末端アミノ酸分析を行った。また、N末端ブロックを考慮し、ピログルタミル基を持つアミノ酸を遊離する酵素(pyroglutamyl aminopeptidase : PA)とアセチル基またはホルミル基を持つアミノ酸を遊離する酵素(N-acylaminoacyl-peptide hydrolase : APH)で処理した試料についても同様の分析を行った。 pHの異なる条件下で加熱した試料についてSDS-PAGEにより分析した結果、酸性域ではアルカリ性域に比べ明瞭な低分子化を示すバンドパターンが観察された。このことから、コラーゲンは、アルカリ性域よりも酸性域の方でより再現性良く限定的に熱分解することが明らかとなった。また、尿素はコラーゲンの分解を抑制する効果を示した。 α1(I)鎖を加熱処理すると、未加熱に比べ、GlyやProがN末端アミノ酸として増加することが示された。PA処理を行った試料と対照試料の間には大きな差異は見られなかった。また、APH処理では、対照試料に比べGly、His、Arg、Leuなどの相対的割合が増加した。これらの結果は、熱分解によってN末端にピログルタミン酸を有するペプチドはほとんど生じないが、N末端の一部が加熱分解と共にアセチル化またはホルミル化されることを示唆するものである。
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