2001 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物の産生する興奮性アミノ酸およびその受容体の組織内局在性
Project/Area Number |
13660206
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
酒井 隆一 北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)
神保 充 北里大学, 水産学部, 講師 (10291650)
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Keywords | 興奮性アミノ酸 / グルタミン酸受容体 / 海綿 / ダイシハーベイン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
抗体の作製:海綿Dysidea herbaceaより得られた興奮性アミノ酸ダイシハーベイン(DH)を、水溶性カルボジイミド法を用い、コハク酸をリンカーとしてKLHと結合することで抗原を作製した。これを一部酸加水分解し、そのマウスに対する痙攣誘発作用を半定量的に測定することで、抗原のハプテン結合量は約1%と推定された。この抗原をウサギ2頭にそれぞれ6〜8ヶ月間にわたり接種し、坑血清を得た。血清のIgG画分をアフィニティーカラムで分離後、ELISAを用いて特異性を検討した。 免疫組織染色:現地で海綿を採集直後0.5%グルタルアルデヒド/2%パラホルムアルデヒドで固定した。固定サンプルは実験室に持ち帰り、エタノール脱水処理を施した後樹脂包埋し切片作製に供した。切片を上述の坑血清とインキュベート後洗浄し銀増感プロテインAゴールド染色を行った。またコントロールとしてはウサギ正常血清、ウサギ坑フコエリスリン抗血清を用いた。 結果と考察:今回得られた坑血清はBSAやコハク酸を結合したBSAには反応せず、コハク酸をリンカーとしてBSAに結合させたDHに反応を示した。このことから、本坑血清は固相化されたDHを特異的に認識する抗体を含むものと考えた。そこで、この抗体を用いて固定海綿標本の切片を免疫染色後光学顕微鏡で観察した結果、坑DH坑血清による染色で、海綿組織中に数多く存在する未同定の球状細胞(10μm)に金コロイドが集中する様子が観察された。この細胞はまた坑フコエリスリン抗血清によって染色された。本海綿に共生する藍藻Oscillatoria spongeliaeは坑フコエリスリン抗血清により強く染色されたが坑DH坑血清にはまったく染色されなかった。これらの結果はDHが海綿内の球状組織に局在することを強く示唆している。
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