2002 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類の脳・神経ペプチドの探索と体内分布に関する研究
Project/Area Number |
13660209
|
Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
安田 明和 (財)サントリー生物有機科学研究所, 主任研究員 (90211614)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 好美(釜谷) (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (10270571)
|
Keywords | アメリカザリガニ / MALDI-TOF MS / orcokinin / レーザーマイクロダイセクション |
Research Abstract |
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF MS)を用いた細胞内分泌顆粒の分子量プロファイルの直接分析(Topological mass spectrometry分析)において、試料調整にレーザーマイクロダイセクション法を併用することにより、アメリカザリガニの脳ペプチドの細胞レベルにおける局在と動態が詳細に調べられるようになった。即ち、厚さ40ミクロンメーターに調整した脳の凍結切片からレーザーマイクロダイセクションによって切り分けられたanterior medial cells、olfacory lobe cells、ventral laternal cells、posterior medial cellsをマトリックス溶液で固定後、MALDI-TOF MS分析した。これら細胞群からそれぞれ異なった分子量プロファイルが観察された。先の研究において、orcokininは13残基から成るペプチド(NFDEIDRSGFGFN)で、カルボキシ末端がアラニン、あるいはバリン残基に変異した分子も存在し、これらペプチドは共通の前駆体からプロセッシングを受けて成熟することが判明している。一方、今年度の研究においてanterior medial cellsから分子量1198のペプチドが観測され、Q-Tof質量分析計によるMS/MS分析の結果、NFDEIDRSGFamide構造であることが解明された。同時にNFDEIDRSGFG分子も同定された。このことは成熟ペプチドと思われていたorcokininが更にカルボキシペプチターゼ様プロセッシングを受け、カルボキシ末端がグリシン残基になった時、αアミド化酵素によってフェニールアラニンアミドへと変換されたものと考えられる。このようなプロセッシング機構は本研究において初めて証明されたものである。また、topological mass spectrometry分析は、魚類脳下垂体ホルモンおよびミツバチの脳内ペプチドの研究等に技術供与し大きな成果を収めている。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Takahashi, A., Amemiya, Y., Yasuda, A., Meguro, H., Kawauchi, H.: "Mass spectrometric detection of proopiomelanocortin (POMC)-related peptides following molecular cloning of POMO cDNA in bigeye tuna Thunnus obesus"Fisheries Science. 68. 1073-1080 (2002)
-
[Publications] 安田明和: "キャピラリーLC-MSによるタンパク質・ペプチドホルモンの分析"日本比較内分泌学会ニュース. 107. 29-35 (2002)
-
[Publications] Yasuda, A., Yasuda-Kamatani, Y.: "Proceedings of the 21st Conference of European Comparative Endocrinologists"MONDUZZI EDITORE. 4 (2002)