2001 Fiscal Year Annual Research Report
農民的技術による自然循環的農業の経済性と環境保全機能に関する事例的研究
Project/Area Number |
13660210
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三島 徳三 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40002365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 和秋 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (40184270)
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Keywords | 放牧型酪農 / 集約放牧 / 高泌乳酪農 / 地域循環的農業 / 糞尿処理 |
Research Abstract |
平成13年度(初年度)は酪農・肉牛経営を対象に飼料調達と糞尿処理,および生産物(副産物を含む)販売の実態を把握することを目的に次の調査を実施し,大略下記の知見を得た。 (1)放牧型酪農(集約放牧を含む)に関する調査 北海道中標津町,同津別町,同足寄町の一部酪農家が取り組む放牧型経営の調査を行った。これらの経営は利用可能草地と家族労働力の範囲内に乳牛の飼養規模を抑え,冬季を除いて舎飼い期間を減らしている。その結果,乳牛の健康が保たれ,産次数が増加することによって乳牛償却費が減少し,購入飼料費も大幅に低下させている。さらに,放牧によって糞尿処理のための施設投資と労働費が削減でき,環境保全効果も高いことが明らかになった。 (2)高泌乳酪農の飼料確保・糞尿処理と個体販売に関する調査 十勝清水農協管内に存在する高泌乳の酪農経営の調査を行った結果,これらの経営は生産乳量・粗収入が多い半面で,購入飼料代・乳牛償却費・糞尿処理施設投資なども増加し,放牧型酪農経営に比較して所得率も低いことが明らかになった。 (3)都市近郊酪農の飼料確保と糞尿処理に関する調査 神戸市北区の住宅地に近接した酪農経営を調査し,飼料調達の状況,家畜排泄物の処理方法,生乳の加工販売の状況について実態を掌握した。 (4)繁殖肉牛経営の飼料確保と子牛販売に関する調査 長崎県壱岐郡に展開する黒毛和牛の繁殖経営を調査し,飼料調達,放牧の有無,家畜排泄物の処理状況等を掌握し,さらに農協が経営する家畜市場の取引状況についてのデータを収集した。 (5)肉牛経営を基盤とした地域循環的農業に関する調査 山形県置賜郡および米沢市をエリアとする農事組合法人・米沢郷牧場を対象に,肉牛牧場の糞尿を利用したBMWシステムと生物活性水の稲作・園芸農家への還元の実態等について調査を行った。
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