2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市農村交流に対応した果樹園芸経営の多角化方策とその展開方向
Project/Area Number |
13660213
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大江 靖雄 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60302535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霜浦 森平 千葉大学, 園芸学部, 助手
栗原 伸一 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80292671)
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Keywords | 都市農村交流 / 果樹経営 / 観光農業 / 多角化 / グリーン・ツーリズム |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は、以下のとおりである。 1)農業経営活動の多角化のための、これまでの農家像に関する検討を行い、従来の農家=農業生産という図式から、経営活動領域(ドメイン)の拡大の必要性を明らかにした。次いで、農家経営の多角化を明示的に扱う概念的フレームワークを提示して、農業経済学の領域の拡大を図った。具体的には、農家経営の多角化を明確に位置付けるため、農家経営活動の生産物が1種類のみの伝統的な農産物の場合に加えて、サービス財的特徴を有する農村ツーリズム関連財の存在を明示的に考慮した2種類の生産物を前提とすべきであることを提示した。 2)農村ツーリズムが誕生した社会的背景を総括し、農村ツーリズムを新旧二つのタイプに区分してその特徴を整理した結果、わが国の農村ツーリズムが新旧の移行期にあることを明らかにした。そして、農村ツーリズムの具体的形態として、わが国の農林漁業体験民宿を対象にし、その稼働率の推計を行い、長期休暇制度の成立していないわが国における今後の展開への課題を明らかにした。 3)都市農村交流の展開を踏まえて、中山間地域における農村ツーリズムによる活性化の可能性を、リカード比較優位論を用いて考察し、農村ツーリズムの需要者の特性分析を行った。その結果、農村ツーリズムの需要層の特性が、欧州の先行研究で指摘される高学歴世帯が中心となるという点と同様の結果を得ており、農村ツーリズムの需要者層に関して共通した特徴があることを明らかにした。 4)多面的機能のビジネス化という観点から、実際の農村ツーリズムに取り組む先駆的な一戸の農家の経営展開過程を探ることで、多面的機能がビジネス化される過程を考察した。先駆的な一農家を対象とする事例的考察から多面的機能のビジネス化を製品イノベーションととらえて、その特徴を明らかにし、多面的機能による外部効果の経営内での内部化を支援する政策的設計が必要であることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohe, Y.: "Multifunctionality and Farm Diversification : A Case of Rural Tourism"14th International IFMA Congress of Farm Management, Proceedings. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] Ohe, Y.: "Multifunctionality and Farm Diversification : A Direction for Farm Policy"Program and Abstracts of the 80th EAAE Seminar. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] 大江靖雄: "農業経営の多角化と農家の所得概念-農村ツーリズムを題材として-"平成15年度日本農業経営学会研究大会報告要旨II. 243-246 (2003)
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[Publications] 大江靖雄: "農業の多面的機能と農村ツーリズム"千葉大学園芸学部学術報告. 57. 67-77 (2003)
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[Publications] 大江靖雄, A.Ciani: "イタリア中部・ウンブリア州におけるアグリツーリズムの展開とその特徴"総合観光研究. 2. 11-18 (2004)
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[Publications] 総合観光学会: "観光の新たな潮流"同文館出版. 189 (2003)
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[Publications] 持田紀治: "国際競争に打ち勝つ農業自立化戦略"農林統計協会(印刷中). (2004)