2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国の21世紀をみすえた農村制度改革―ミクロ・データの分析―
Project/Area Number |
13660220
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60184157)
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Keywords | パネルデータ / 双層経営体制 / 集団経営能力 / 個別経営能力 / 生産弾力性 / 利潤関数 / 経営能力決定要因 / 人的資本 |
Research Abstract |
2002年度は、中国農業部農村経済研究センターの農家固定観察点ミクロデータを用いて、現地調査の結果も踏まえながらパネルデータ分析を行なった。中国の農業発展を支えたのが「双層経営体制」であり、「集団経営能力」と「個別経営能力」を有効に活かそうとする制度である。この「経営能力」に注目し、(1)省ごとの「集団経営能力」の格差、(2)農家ごとの「個別経営能力」の格差、(3)双層経営体制下の生産要素投入構造、(4)個別経営能力の決定要因を、Yotopolusの利潤関数に基づいたパネル分析により検証した。第一に、中国全国の利潤関数を計測し、省ごとの能力格差をテストした。パネル分析の結果省ごとに個別効果があり、省ごとに集団経営能力が利潤に貢献していることが検証された。さらに生産関数の生産弾力性から、ひとつには、個別農家の投入物財の弾力性が大きく、農民負担を通した集団による投入物財の弾力性が小さいこと、ふたつめとして、資本投入よりも土地投入の生産弾力性が大きいことがわかった。第二に、河北省、山西省、黒龍江省、安徽省、山東省、寧夏自治区の省ごとに利潤関数を計測し、個別農家ごとの能力格差をテストした。その結果、食糧生産で「個人経営能力」の個別農家間で格差があると認められたのは河北省、山西省、黒龍江省であった。「集団経営能力」は山東>安徽>寧夏>山西>黒龍江>河北と計測されたので、集団経営能力の高い省では、個人経営能力に格差は現れないことになる。集団の力の強い省では個人格差は現れず、集団の力の弱い省では「個別経営能力」の格差が有効に働くと言えるかもしれない。第三に、個別経営能力に格差があると認められた河北、山西、黒龍江省に対し、個別経営能力の決定要因に関する重回帰分析を行った。党員、幹部、教育など外的条件は個別経営能力に無関係であるが、人的資本の蓄積は個別経営能力の向上に関係があるといえた。
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Research Products
(1 results)