2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ乳腺上皮細胞のアポトーシス制御機構に関する研究
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13660280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 顕彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80156249)
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / アポトーシス / 酪酸 / IGF / IGFBP |
Research Abstract |
ウシ乳腺上皮細胞は、妊娠、分娩、泌乳、乾乳に伴って増殖、分化、退行を繰り返すことが知られている。退行時には、乳腺上皮細胞のアポトーシスが誘導されるが、そのメカニズムについては未だ不明な点が数多く残されている。平成13年度は、培養ウシ乳腺上皮細胞におよぼす酢酸、プロピオン酸、酪酸の作用について検討し、酪酸がアポトーシスを誘導することを明らかにした。平成14年度は、乳腺上皮細胞のアポトーシスに深く関わっているといわれているIGF-IGFBP系の発現について検討した。 (1)妊娠期・泌乳期および乾乳期のホルスタイン種乳牛より乳腺組織を単離し、IGF-I,II,IGF受容体、IGF binding protein(IGFBP)の発現について検討した。(2)培養ウシ乳腺上皮細胞のIGFBP-3,5発現におよぼす催乳ホルモン(プロラクチン・インスリン・デキサメサゾン)の影響について検討した。 (1)IGF-ImRNA発現は泌乳期に低下したのに対し、IGF-1-受容体は泌乳期に増加した。IGFBP-3,4は妊娠期に比べて泌乳期、乾乳期に低下した。IGFBP-2,5,6は変化しなかった。(2)催乳ホルモン添加は、ウシ乳腺上皮細胞のIGFBP-5mRNA発現を抑制し、IGFBP-3mRNA発現を増加させた。Western ligand blot解析においても、催乳ホルモンはIGFBP-5発現を低下させた。 以上の結果より、催乳ホルモンのアポトーシス抑制にIGFBP-5が関与している可能性が示された。
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