2001 Fiscal Year Annual Research Report
牛の肝臓および腎臓のヒスチジン合成能に関する生化学的研究
| Project/Area Number |
13660289
|
|---|
| Research Institution | University of Miyazaki |
|---|
Principal Investigator |
小野寺 良次 宮崎大学, 農学部, 教授 (60040862)
|
|---|
| Keywords | 牛の肝臓 / ヒスチジン合成 / ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ / ヒスチジノール / 牛のヒスチジン合成量 / 牛の必須アミノ酸 / 最適pH / 牛肝臓スライス |
|---|
| Research Abstract |
高等動物の必須アミノ酸の決定は、家蓄の生産性の向上や人の正常な成長および健康の維持に大きな貢献をしてきた。しかし、反芻動物では、実験上の困難があるため、未だに必須アミノ酸は確定されていない。筆者らは、これまでに得られた実験データから、反芻動物は「人やラットの必須アミノ酸であるヒスチジンを自力で合成している」に違いないとの仮説に到達した。本研究は、この仮説を実証するためのもので、牛の肝臓および腎臓におけるヒスチジンの合成能力を生化学的に解明することを目的とした。具体的には、微生物や植物で知られているヒスチジンのde novo合成系の最終段階で作用する酵素であるヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(HLDase)活性の存否を確認する研究から開始した。
平成13年度は、まず、牛の肝臓のHLDase活性を測定した。牛肝臓は、屠場試料を用いた。HLDase活性は、ヒスチジノールを基質として、37℃で一定時間インキュベートした後のヒスチジンの増加量から測定した。ヒスチジン量は、すでに筆者らが確立した高感度高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。まず、牛の肝臓のスライスを用いて検討した。その結果、肝臓組織1g当たり394.6nmol/hのヒスチジンがヒスチジノールから生成された。
次に、牛肝臓の粗酵素による試験を行った。牛肝臓のホモジェネートを調製し、遠心分離後の上清液を粗酵素液として用いた。HLDase活性は、粗酵素液に150mM Gly/NaOH緩衝液(pH7〜13)(ヒスチジノール含有)を加えて37℃でインキュベートを行ない、ヒスチジンの増加量を測定した。その結果、牛肝臓のHLDaseは、緩衝液のpHが11に最大活性(548.4nmol/g肝臓/h)をもつことが示された。この数値から、牛肝臓が1日に約14gのヒスチジンを合成する能力があると推算された。
|
-
[Publications] Shaila Wadud, R.Onodera +2: "Determination of histidine and related compounds in rumen fluid by liquid chromatography"J. AOACInternational. 83・1. 1-8 (2000)
-
[Publications] Shaila Wadud, R.Onodera +2: "In vitro catabolism of histidine by mixed rumen bacteria and protozoa"Curr. Microbiol.. 42・1. 12-17 (2001)
-
[Publications] Shaila Wadud, R.Onodera +1: "Studies on the possibility of histidine biosynthesis from histidinol, imidazolepyruvic acid, imidazoleacetic acid, and imidazolelactic acid by mixed ruminal bacteria, protozoa and their mixture in vitro"Appl. Microbiol. Biotechnol.. 55・1. 219-225 (2001)
-
[Publications] Shaila Wadud, R.Onodera +1: "Synthesis of hestidine in liver and kidney of cattle and swine"Animal Science Journal. 72. 253-256 (2001)
-
[Publications] R.Onodera, Shaila Wadud +1: "Is histidine an essential amino acid in ruminant animals ?"Asian-Australasian J. Anim. Sci.. 14・sp issue. 123-130 (2001)
-
[Publications] R.J.Wallace, R.Onodera +1: "The Rumen Microbial Ecosystem(2nd Edition)"Blackie Academic & Professional, London. 719 (1997)
