2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジキニンの血管反応多様性の解明〜G-蛋白質機能と代謝分解の検討〜
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13660302
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮本 篤 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70219806)
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Keywords | ブラジキニン / 脳底動脈 / 血管反応 / G-蛋白質 / チロシンリン酸化 / チロシンキナーゼ阻害薬 / チロシンフォスファターゼ阻害薬 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画の(1)は、培養したブタ脳底動脈内皮細胞をブラジキニン(BK)で刺激し、培養液中に含まれる一酸化窒素(NO)濃度をその代謝産物であるNO_2/NO_3濃度を測ることにより検討した。その結果、BK刺激後NO濃度の有意な上昇を認めた。アラキドン酸代謝物質であるプロスタグランジン類の測定は、現在進行中である。研究実施計画の(2)は、張力実験でBKと分子レベルで2量体を形成しているのではと推測されているアンジオテンシン(Ang)IIの収縮反応をBKのB_2受容体拮抗薬であるHOE140で検討した。その結果、HOE14Cは、Ang IIの収縮反応を用量依存性に抑制し2つの受容体の関連性が示唆された。この抑制が受容体レベルで行われているかどうかは、ラジオリガンド結合実験で検討予定である。また、本年度は、Ang IIに対する2つの受容体、AT_1およびAT_2受容体の分布および受容体特性をラジオリガンド結合実験および培養ブタ脳底動脈内皮細胞を用いて検討した。その結果、AT_1受容体は平滑筋細胞上に存在し、またAT_2受容体は内皮細胞上に存在しNOを遊離していることが明らかとなった(第77回日本薬理学会および第137回日本獣医学会発表予定)。Ang IIおよびBKがチロンシンリン酸化反応を起こすかどうかは、これまでに張力実験によりAng IIは可能性が高いことが推察されたが、今回、直接市販キットを用いて測定した。Ang IIは、チロンシンキナーゼ活性を有意に上昇させたが、BKは有意な上昇を認めなかった。 現在、これらの結果を取りまとめ中で、投稿準備中である。予定が遅れたのは、細胞培養で細胞の増殖のスピードが遅く、時間を要したことにある。
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