2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌自然発症LECラットを用いたストレス応答経路の発癌に対する影響の研究
Project/Area Number |
13660305
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
林 正信 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (10130337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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Keywords | 発癌 / ストレス応答 / DNA修復 / 細胞周期 / LECラット / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は肝臓に銅を蓄積し、ほぼ100%に肝癌を自然発症するLECラットの高い発癌率における種々のストレスに対する応答経路の関与を明らかにすると共に種々のストレスに対する高い感受性の原因遺伝子を解析し、その異常と肝癌発生との関連性を明らかにすることを目的として今年度は以下のような結果を得た。 1)肝細胞における銅および鉄の蓄積とDNA損傷の解析:LECラット肝細胞では銅だけでなく鉄も蓄積し、銅および鉄は共に酸化ラジカルを生成することが報告されているが、低鉄食を用いた解析から肝細胞における鉄の蓄積はDNA切断の直接の原因とならないことを示した。 2)肝炎・肝癌の発症予防の試み:銅特異的キレート剤であるトリエンチンの投与によってLECラット肝細胞におけるDNA損傷の生成がほぼ完全に抑制された。一方、投与後に銅の蓄積は防止されたが、濃度は減少せず、高い銅濃度が維持された。これらの結果は一定の濃度以下に肝臓内銅濃度を保つことによって肝炎・肝癌の発症を予防できることを示唆した。 3)DNA損傷の修復の解析:致死的なDNA損傷である2本鎖切断の修復における、LECラット細胞の修復異常はKuタンパク質が核内で効率的に保持されないことが原因であることを示した。 4)ストレス応答経路の解析:LECラット胸腺細胞はアポトーシスの誘発に対して高感受性を示した。また、ラット胸腺細胞やヒトリンパ腫株化細胞におけるアポトーシスの誘発の機序について検討し、LECラット細胞におけるストレス応答経路に異常があることを示した。 5)肝癌関連ならびにストレス応答遺伝子の解析:LECラット細胞における種々のストレスに対する応答経路の異常に複数の遺伝子が関与していることを示し、原因遺伝子のクローニングならびにその遺伝子の塩基配列について現在検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Hayashi: "Hepatic iron accumulation is not directly associated with induction of DNA strand breaks in the liver cells of Long-Evans Cinnamon (LEC) rats"Exp. Anim.. 51・1. 43-48 (2002)
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[Publications] T.Okui: "Deficiency in nuclear accumulation of G22p1 and Xrcc5 proteins in hyper-radiosensitive Long-Evans Cinnamon (LEC) rat cells after X irradiation"Radiat. Res.. 157・5. 553-561 (2002)
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[Publications] O.Inanami: "Protein synthesis-dependent apoptotic signalling pathway in X-irradiated MOLT-4 human leukemia cell line"Int. J. Radiat. Biol.. 78・2. 115-124 (2002)
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[Publications] O.Inanami: "Hypoxia and etanidazole alter radiation-induced apoptosis in HL60 cells but not in MOLT-4 cells"Int. J. Radiat. Biol.. 78・4. 267-274 (2002)
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[Publications] M.Hayashi: "High sensitivity of thymocytes of LEC strain rats to induction of apoptosis by X-irradiation"J. Vet. Med. Sci.. 64・7. 597-601 (2002)
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[Publications] D.Endoh: "Protective effect of a lignan-containing flaxseed extract against CCl_4-induced hepatic injury"J. Vet. Med. Sci.. 64・9. 761-765 (2002)