2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660327
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
酒井 健夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50147667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 琢也 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20307820)
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Keywords | ハンドウイルカ / 好中球 / 活性酸素 / NADPH酸化酵素 / サイトカイン / 遺伝子クローニング / プライミング |
Research Abstract |
鯨類の生体防御能を解明するため、ハンドウイルカの自然免疫において重要な役割を果たす好中球の殺菌機構について分子生態学的研究を行った。 好中球の殺菌機構において最も重要である活性酸素産生量をルミノール依存性化学発光法によって測定したところ、様々な刺激物質によってハンドウイルカ好中球の呼吸バースト(RB)が誘導された。すなわち、イルカ好中球の活性酸素産生は、ホルボールエステル、コンカナバリンA、加熱処理血漿、および血清でオプソニン化されたザイモザン粒子により誘導されたが、ウシ好中球で観察されるのと同様にfMet-Leu-Pheに対しては全く反応しなかった。リポポリサッカライドおよび黄色ブドウ球菌で刺激したイルカ好中球の活性酸素産生量は、ウシおよびヒト好中球に比べて少なかった。これらの結果は、イルカ好中球がウシおよびヒトなどの陸棲哺乳類の好中球に比べて細菌に対する殺菌活性が低いことが示唆された。 さらにこれまでの研究において作製したイルカ組み換え型腫瘍壊死因子(TNF)αを用いて、サイトカインによるイルカ好中球のRB活性への影響について検討した。イルカ好中球は、TNFα単独添加による刺激ではわずかに活性酸素を産生した。TNFαで前処理した好中球をConAおよび加熱処理血漿によって刺激した場合、添加したTNFαの濃度依存的に活性酸素産生が顕著に増強されるプライミング作用が観察された。イルカTNFαのプライミング作用は、80℃で30分間の加熱処理によって失活したが、ポリミキシンB処理では抑制されなかったため、大腸菌由来のLPSによるものではないことが確認された。以上より、イルカ組換え型TNFαは好中球の活性酸素産生能を増強することが示され、海棲哺乳類においてもサイトカインが自然免疫の調節因子として作用していることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takuya Itou: "Priming of dolphin neutrophil respiratory burst by recombinant tumor necrosis factor alpha"Development & Comparative Immunology. 26・7. 675-679 (2002)
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[Publications] Rikiya Shiraishi: "The repiratory burst activity of bottlenose dolphin neutrophis elicited by several stimulants"Journal Veterinary Medical Science. 64・8. 711-714 (2002)