2001 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性セルロースアセテートプラスチックの調製と繊維および発泡体への応用
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13660335
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉岡 まり子 京都大学, 農学研究科, 講師 (30220594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 嘉之 京都大学, 農学研究科, 教授 (00156043)
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Keywords | セルロースジアセテート / ε-カプロラクトン / 2-エチルヘキサン酸スズ(II) / グラフト共重合 / L-ラクチド / 紡糸 / 分子配向 / 光学異方性 |
Research Abstract |
還流冷却管、撹拌機を備えた四ツ口フラスコ中にセルロースジアセテート(CDA)及びε-カプロラクトン(CLN)を所定量秤取り、乾燥窒素気流下でCDAをCLNに溶解させた後、触媒として2-エチルヘキサン酸スズ(II)を添加し、140℃で所定時間反応させた。得られたg-CDAの、GPCによる分子量分布の測定、熱流動温度の測定、NMRスペクトルの測定、DSCによる熱分析、X線回折強度の測定、シートの引張試験・濁度測定を行い、g-CDA諸特性のモル置換度(MS)依存性を検討した。その結果、MSの増加に伴い、PCL枝鎖の結晶化が進み、シートの透明性は無色透明な状態(MS<1.0)から、乳濁状態(1<MS<8)、さらには白濁状態(MS>8)へと変化した。それに対応して、シートの物性はガラス状態から、エラストマー状態、そして最終的には弾性率・引張強度は増加したが脆性的な破壊挙動を示すものへと至った。 一方、環状エステルとしてCLNに加えてL-ラクチドをも用い、混合モノマーによるCDAのグラフト共重合を試みると共に、反応の触媒濃度依存性を検討した。さらに、この生成物についてキャスト製膜し、遠心処理後、分子配向と光学異方性に関する情報を得るため、X線回折測定、偏光顕微鏡観察を行った。試料の熱圧成形シートは触媒濃度が増加するにつれて室温でガラス状からエラストマー状まで変化したが、1時間、140℃の反応条件下、0.1%という低濃度でも、汎用プラスチックに並ぶ良好な物性を示した。他方、キャピラリーレオメータによる紡糸を試みたところ、ローラーでの連続的な巻き取りが可能であり、銀白色の光沢ある繊維が得られた。また、グラフト物は延伸処理により分子は配向するが、延伸方向とそれに垂直な方向での屈折率がほとんど等しいという性質を有するポリマーであることが明かとなった。
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[Publications] Mariko Yoshioka, Nobuo Shiraishi: "Biodegradable Plastics from Cellulose"Molecular crystals & liquid crystals bulletin. 353号. 59-73 (2000)
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[Publications] 西尾嘉之: "複合化によるセルロース系多糖の新しい機能化"繊維学会誌. 57・7. 192-196 (2001)
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[Publications] Y.Teramoto: "Plasticization of Cellulose Diacetate by Graft Copolymerization of ε-Caprolactone and Lactic Acid"Journal of Applied Polymer Science. (in press).
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[Publications] S.Murase: "Structural Characteristics and Moisture Sorption Behavior of Nylon 6-Clay Hybrid Films"Journal of Polymer Science, Part B, Polymer Physics. 40・6. 479-487 (2002)