2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660336
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
秦野 琢之 福山大学, 工学部, 教授 (60198752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩明 福山大学, 工学部, 講師 (90222299)
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Keywords | トリアシルグリセロール / 菌体外生産 / 油脂分泌 / 脂質結合タンパク質 / 酵母 / Trichosporon sp. / Saccharomyces cerevislae |
Research Abstract |
本研究は、油脂(トリアシルグリセロール:TG)を分泌する酵母菌株を材料として、菌体外へのTG排出の分子機構を解明することを目的とする。得られる成果を有用油脂生産微生物株(産物は菌体内に蓄積)に適用、油脂分泌型株を育種する独創的技術の開発を目指す。平成13年度は、TGの膜透過に関与する蛋白質(TG-BP)の分離・精製と、TG分泌(排出)の表現型を与える変異遺伝子の特定に関する実験・研究を行った。 1.Trichosporon sp. L-12変異株(TGの分泌・再取り込みを行う)のTG分泌時に約45kDaの、また再取り込み時に約20kDaのTG-BPが出現することを確認、分離・精製に着手した。ここで大きな問題に遭遇した。すなわち、本変異株のTG分泌のタイミングに関する表現型が菌株取得時に比べ、培養24時間以上後半にシフトしていた。安定な表現型を示す菌株の選別に力を注ぎ、条件をほぼ満たす株を得た。取得株を用いて、再度TG-BPの精製を目指す。 2.S. cerevisiaeのTG排出変異を相補する野生型遺伝子のクローニングを試み、候補クローンを数種得たものの、配列解析の結果、目的遺伝子である可能性は低い結果となった。種々検討を加え、変異株の表現型(TG排出能、細胞凝集性)の安定化、クローニングに用いる相補株選別法に改良を加えた。すなわち、TG排出に関しては安定した表現型を示す株を取得し、感度の高い検定菌での選別法を考案した。細胞凝集性の問題については、凝集に関与する遺伝子の破壊を行うことで克服すべく、当該実験に着手した。 以上の実験結果をふまえ、項目1については、目的蛋白の単離と解析・蛋白の情報に基づく遺伝子の特定を、項目2については、目的遺伝子のクローニングと解析を、進めている。
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