2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660336
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
秦野 琢之 福山大学, 生命工学部, 教授 (60198752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩明 福山大学, 生命工学部, 助教授 (90222299)
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Keywords | 酵母 / トリアシルグリセロール / 分泌生産 / パルミトレイン酸 / トリアシルグリセロール結合タンパク |
Research Abstract |
本研究では、脂質の分泌発酵生産を目指した基礎および応用研究を行った。 (1)油脂生産酵母Trichosporon sp.SH45Y株より、2種のトリアシルグリセロール(TG)分泌変異株を得た。E228株は脂肪酸基質で親株(SH45Y)の約3倍(2.4g/l/3days)のTGを分泌し、産物TG中にはパルミトレイン酸が30%以上含まれていた。一方L-12株は、グルコース基質でTGを生産し、その約75%を菌体外に分泌したが、菌体外TGは基質消費後速やかに減少した。 (2)Trichosporon SP. L-12株は、細胞膜を介した細胞内外へのTG膜輸送系(TGの水解を伴わない)を有することを明らかにした。さらに、本菌の菌体内外に数種のTG結合タンパク(分子量約45kDa、30kDa、20kDa)が存在することを示し、そのうち45kDaと20kDaタンパクのN-末端アミノ酸配列を決定した。TGの分泌および再取り込みはこれらTG結合タンパクのTGに対する親和性勾配によって起こるものと推定した。TG結合タンパク質の遺伝子クローニング実験を進行中。 (3)TG分泌の分子機構を解析するため、実験室酵母Saccharomyces cerevisiaeのTG分泌変異株(STG1株)を得た(総脂質の約6%相当を分泌)。本変異は野生型遺伝子により相補され、四分子分析の結果より一遺伝子支配によるものであると判断された。野生型遺伝子の解析・改変により有用油脂分泌システムを構築することを目指し、本遺伝子のクローニングを精力的に試みたが成功には至らず、その原因は、本変異株の細胞凝集性にあると推定された。目的遂行には凝集の除去という新たな課題が生じた。
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