2001 Fiscal Year Annual Research Report
モンシロチョウ由来新規アポトーシス誘導蛋白質の作用機序とその生理的役割の解析
Project/Area Number |
13660344
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
渡辺 雅彦 国立がんセンター, 研究所・がん予防研究部, 室長 (00182949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 敬二 国立がんセンター, 研究所・がん予防研究部, 部長 (60158582)
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Keywords | モンシロチョウ / ピエリシン / ADP-リボシル化 / DNA付加体 / 細菌毒素 |
Research Abstract |
モンシロチョウに存在するがん細胞傷害性蛋白質、ピエリシンは、分子量約98,000の蛋白質であり、コレラ毒素等のADP-リボシル化酵素と相同性を示す。ADP-リポシル基転移反応のターゲット分子の検索を行うため、ピエリシンとHeLa細胞粗抽出液を^<32>-NADの存在下反応させ、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、オートラジオグラフィーを行ったところ、高分子量画分に^<32>Pの取り込みが観察された。しかしながら、この高分子画分は、プロテアーゼによって分解されない一方、ヌクレアーゼに感受性を示した。またこの取り込みは、ピエリシン存在下でのみ起こり、ピエリシンの酵素およびレセプター結合ドメインと考えられているN末端領域とC末端領域の間を切断するプロナーゼ、トリプシン等により大幅に増強されること、さらに、ピエリシンとNADに精製DNAを加えるだけで起こることが分かった。このことから、ピエリシンのターゲット分子は、これまで知られているADP-リボシル転移酵素とは全く異なり、DNAであることが推察された。そこで、各種基質を用いて^<32>Pの取り込みを検討した結果、RNAのサイズならびに変性、未変性に関わらず反応することからDNAの末端構造は不要であることが示唆された。DNAに対する反応性はDNAの約1/10であった。さらに、塩基配列との関連を調べたところ、グアニン塩基の存在と取り込み量が強く相関していた。なお、Poly-L-argentineならびに各種分画蛋白質、精製蛋白質に対しては反応性は認められなかった。以上の結果より、ピエリシンは、グアニン塩基のADP-リボシル化反応を触媒する新規酵素ドメインを有する蛋白質であることが示唆された。
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[Publications] Takeji Takamura Enya: "Mono(ADP-ribosyl)ation of 2'-deoxyguanosine residue in DNA by an apoptosis-inducing protein, pierisin-1, from cabbage butterfly."Proc Natl Acad Sci USA. 98. 12414-12419 (2001)