2001 Fiscal Year Annual Research Report
グルココルチコイドによる成長ホルモン遺伝子転写活性化の分子機構―グルココルチコイドにより誘導され、成長ホルモン遺伝子の転写を活性化する核内因子の同定―
Project/Area Number |
13670003
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野上 晴雄 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (30119838)
|
Keywords | グルココルチコイド / C / EBP δ / 成長ホルモン / 下垂体前葉 / 胎仔 / 転写 |
Research Abstract |
胎生下垂体における成長ホルモン(GH)細胞の機能的成熟、すなわちGHやGHRH-受容体(GH放出ホルモン受容体)の発現開始の引き金となっているのがグルココルチコイドであるということを我々は様々な実験系で示してきた。しかし、GHRH-受容体の発現にはグルココルチコイド受容体が直接転写因子として機能していることがわかっているものの、GH発現誘導に関してはグルココルチコイドの作用を仲介する物質の存在が想定され、この分子の同定と作用機序の解明が問題であった。本研究においてこのグルココルチコイドの作用仲介物質としてのC/EBPδの機能を調べた。C/EBPδはラット下垂体では胎生15日に既に発現しており、発現量はGH産生の始まる胎生19日以降増加した。GH産生腫瘍細胞であるMtT/S細胞でもC/EBPδの発現は見られるので、胎仔下垂体で認められたC/EBPδの発現は少なくとも一部はGH細胞におけるものと思われる。またこの細胞株においてC/EBPδの発現量はグルココルチコイド処理により増加した。MtT/S細胞は成熟型のGH細胞であるが、幼若なGH細胞に相当すると思われるMtT/E細胞ではC/EBPδの発現は非常に低レベルであった。すなわち、C/EBPδの発現はGH産生能に比例するように思われる。Cos細胞を用いた一過性の発現実験系でC/EBPδはGHプロモーターの活性を上昇させることが明らかとなった。C/EBPデルタと近縁の分子であるC/EBPαもGHプロモーター活性を上昇させたが、活性はδのほうが強力であった。C/EBPβはプロモーター活性を低下させた。これらのデータは、総合するとC/EBPδがグルココルチコイドの作用仲介物質であることを強く支持しているが、直接的な証明にはなっていない。次年度ではこの点を中心に検討を加えたいと考えている。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Nogami H. et al.: "A composite hormone response element regulates transcription of the rat growth hormone-releasing hormone receptor gene"Endocrinology. (in press).
-
[Publications] Hisano S., Nogami H.: "Transporters in the neurohypophysial neuroendocrine system, with special reference to vesicular glutamate transporters(BNPI and DNPI) : A review"Mic Res Tech. 5・6. 122-131 (2002)
-
[Publications] Matsubara M. et al.: "Effects of diethylstilbestrol on the cytogenesis of prolactin cells in the pars distalis of the pituitary gland of the mouse"Cell Tissue Res. 302. 301-307 (2001)
-
[Publications] Sakata-Haga H. et al.: "Differential localization and colocalization of two neuron-types of sodium-dependent inorganic cotransporters in rat forebrain"Brain Res,. 902. 143-155 (2001)