2001 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋Caチャネルに存在する複数の開口状態の分子基盤と細胞内シグナリング
Project/Area Number |
13670041
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 晋介 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30192230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 学 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80302090)
伊藤 康 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80303650)
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部・附属病院, 講師 (10283441)
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Keywords | カルシウム / イオンチャネル / 電気生理学 / 平滑筋 / 多種開口状態 / 不活性化 / 脱活性化 |
Research Abstract |
電位依存性Caチャネルは、神経・筋細胞などの興奮性細胞に広く分布する。この一群のチャネルは、細胞膜の脱分極によって活性化(開口)され、細胞内へのCa流入を引き起こす。このCa流入は引き続いて、細胞機能発現に重要な細胞内シグナル(たとえば筋小胞体からのCa誘発性Ca放出)を誘起する。また、細胞機能変化に応じて、このCaチャネルは様々な修飾を受けることが知られている。 平成13年度は、まず平滑筋Caチャネルのα1サブユニットを定常的に発現したCHO細胞にwhole-cellパッチクランプ法を適用して電流の解析を行った。α1サブユニットだけでも、大きな脱分極によって脱活性化の遅いtail電流が観察された。この現象は第二の開口状態の存在を示すものである。また、第二の開口状態のもう一つの特徴でもある不活性化されないという性質も保存されており、明らかなU字型不活性化曲線が得られた。CaチャネルアゴニストであるBay K 8644の投与によって、大きな脱分極後のtail電流の脱活性化速度はさらに低下したが、U字型の不活性化曲線の特性は、そのままであった。Caチャネルアゴニスト存在下で、Caチャネルアンタゴニストであるnifedipineを投与したところ、tail電流は減少したがその脱活性化時定数に大きな変化はなかった。 これらの性質を理解するため、2つの開口状態(O1,O2)、2つの不活性化状態(I1,I2)及び1つの閉口状態(C)によって、コンピュータモデルを作成した。また、Caアゴニストとアンタゴニストによって、Caチャネルは異なる速度定数を持つ類似のキネティクモードへ遷移すると仮定した。このモデルは、1)tail電流の脱活性化速度が再分極時の膜電位に影響されることや、2)Caチャネルアゴニスト・アンタゴニストの相互作用も、包括的にシミュレートした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] KONISHI, M., YAMASHITA, T., NAKAYAMA, S., KOKUBUN, S.: "Calcium waves in skinned cardiac myocytes evoked by two-photon excitation photolysis of caged calcium"Japanese Journal of Physiology. 51. 127-132 (2001)
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[Publications] ITO, Y., NAKAYAMA, S., SON, M., KUME, H., YAMAKI, K.: "Protection by Tetracyclines against Ion Transport Disruption Caused by Nystatin in Human Airway Epithelial Cells"Toxicology and Applied Pharmacology. 177. 232-237 (2001)
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[Publications] NAKAYAMA, S., CLARK, J.F.: "Smooth Muscle and NMR Review : An Overview of Smooth Muscle Metabolism"Molecular and Cellular Biochemistry. (in press).
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[Publications] MURAKAMI, M. et al.: "Antinociceptive effect of omega-conotoxin SVIB and distribution of various calcium channel alpha1 subunits in murine DRG neurons"Brain Research. 903. 231-236 (2001)