2001 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質細胞におけるNaポンプとIP3受容体との形態的・機能的連関
Project/Area Number |
13670050
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井上 真澄 福岡大学, 医学部, 助教授 (40223276)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 皓一 福岡大学, 医学部, 助教授 (60078780)
藤城 直二 福岡大学, 医学部, 助手 (30173420)
|
Keywords | ウァバイン / Naポンプ / カテコールアミン / 分泌 / 副腎髄質細胞 / Ca貯蔵部位 / Ca動員取り込み |
Research Abstract |
単離副腎髄質細胞からのカテコールアミン分泌をアンペロメトリー法により記録し、Naポンプ抑制薬ウアバインの分泌に対する作用を調べた。多くの細胞において静止時には、ほとんどカテコールアミン分泌は観察されず、1μMウアバインを投与しても静止時の分泌はなんら影響を受けなかった。しかし、細胞外Ca欠如液中でムスカリンにより誘発されるCa動員由来の分泌は、1μMウアバイン投与後10分ぐらいから促進された。一方、細胞外Caイオンが存在している条件下でニコチン受容体を1分間刺激し強制的に細胞内Ca貯蔵部位にため込ませた後の、'ムスカリンによるCa動員由来の分泌は1μMウアバインによって影響を受けなかった。また、ニコチン誘発性分泌も1μMウアバインにより影響を受けなかった。これらの結果より、1μMウアバインによりNaポンプが抑制されると、細胞内Ca濃度はわずかに上昇するが、その上昇は分泌をおこすほどではないこと、そしてこのわずかな細胞内Ca濃度の上昇により、Ca貯蔵部位へのCaの取り込みが促進されることが考えられる。そこで、細胞内Ca動員の空間的分布を共焦点レーザー顕微鏡及びFluo-3を用いて調べた。ムスカリン誘発性Ca動員によるFluo-3蛍光の増大は、細胞質より核領域が大きかった。同様の増大は、SERCAポンプ抑制薬のタプシガルギンの投与によっても観察された。この結果は、核質がFluo-3のCa感受性をあげていることを示唆する。細胞質を4分割してそれぞれのCa動員に対する蛍光変化を調ぺると、蛍光変化の差の最大はもっとも強い変化の約30%であった。細胞質内でもっとも大きい蛍光変化を示す領域にCa貯蔵部位が存在することが考えられる。低濃度のウアバインによるNaポンプ抑制は、このCa貯蔵部位へのCa取り込みを促進するのではないかと考えられる。
|
-
[Publications] M.Inoue et al.: "Role of ATP decrease in secretion induced by mitochondrial dysfunctionin guinea-pig adrenal chromaffin cells"Journal of Physiology. 539. 145-155 (2002)
-
[Publications] 井上真澄: "ブレインサイエンス・レビュー2001"医学書院. 98-111 (2001)