2001 Fiscal Year Annual Research Report
高地居住慢性低酸素性肺高血圧とその回復過程における細胞内外のカルシウムイオン動態
Project/Area Number |
13670062
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
丸山 淳子 三重大学, 医学部, 講師 (50263017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 一男 三重大学, 医学部, 教授 (20181828)
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Keywords | 肺高血圧 / カルシウム / ニフェジピン / ラット |
Research Abstract |
正常ラットおよび低圧低酸素性慢性肺高血圧ラットにおいて、各種収縮物質(KCl、PGF2α)およびニフェジピンに対する収縮および弛緩反応を以下の順に検討した。 (方法)ラットを低酸素暴露(1/2大気圧;380mmHg)チャンバー内で10日間飼育することにより慢性肺高血圧(PH)モデルを作成する。ラットをペントバルビタール腹腔内麻酔後、肺外(EPA)および肺内(IPA)肺動脈において、内皮温存および内皮除去リング状血管片を作成する。クレブス液20mlで満たしたマグヌス管に至適張力で懸垂し、等尺性張力変化を測定する。リング片は70mM KClで2回収縮させ、2回目の収縮を最大収縮とする。次に、PGF2α(10^<-8>-10^<-5>M)を低濃度から段階的に加え、等尺性張力変化を測定し、KCl収縮を最大収縮に対する割合として用量作用曲線を作成する。最後にKCl、PGF2αのいずれかの収縮物質を用いてKCl最大収縮の40-70%の前収縮を得た後、ニフェジピン(10^<-10>-10^<-5>M)を低濃度から段階的に加え、等尺性張力変化を測定し、最後にパパベリン10^<-4>Mにより最大弛緩を得、各濃度において惹起された弛緩をパパベリンによる最大弛緩に対する割合として用量作用曲線を作成する。得られた用量作用曲線の結果を正常肺血管、PH肺血管について比較する。 (結果)PGF_2αによる収縮については、PH肺血管と正常肺血管で、内皮温存、内皮除去血管ともに、中等度の濃度において10日PHラットの収縮が有意に増強していた。PGF_2αによる前収縮後のNifedipineに対する弛緩については、内皮温存、内皮除去血管ともに、PH肺血管の方が正常肺血管に比べて、弛緩反応が有意に増強した。これらのことから低酸素暴露によるNifedipineの弛緩反応の亢進に内皮細胞の関与は低く、細胞内外のカルシウムイオン動態に関わる血管平滑筋の機能の変化が原因となっていると考えられた。
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