2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670070
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 和人 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80146167)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / 培養 / バゾプレッシン / 同調 / 興奮性アミノ酸 / GABA / VIP |
Research Abstract |
哺乳類の概日リズムの中枢である視交叉上核では、個々の細胞が固有の振動体を持っており、その細胞群は集団として一つのリズムを形成している。本研究は、各細胞が個々のリズムを同調させて一つのリズムを形成しているメカニズムを培養系を用いて調べる事を目的としている。 細胞間の同調に関して、今年度は次のような結果を得た。最近、GABAが視交叉上核の細胞間の同調を司つているのではないかという報告がなされている。そこで、培養視交叉上核細胞の概日リズムに対するGABAの影響を調べた。GABAはバゾプレッシン分泌リズムを抑制し、そのリズムを変化させたが、効果は一時的で、数日後にはリズムの位相は元に戻った。このことは「GABAはバゾプレッシン分泌のみに作用し、振動体に影響を与えるのではない」か、「GABAはバゾプレッシン分泌リズムを司る振動体に作用し位相を変化させるが、この一時的なリズムの乱れはGABAが影響を与えない上位の振動体によって再び元のリズムに同調させられる」かのいずれかであることが示唆された(2002年11月第9回日本時間生物学会で発表)。視交叉上核の単一神経細胞の電気活動リズムに対する影響を調べた結果ともあわせると、後者の可能性が高い。すなわちこの細胞培養系では振動体間のヒエラルキーがあり、バゾプレッシン分泌細胞の振動体は下位に属することになる。次年度は本当に上位の振動体があるのか、あるとすればどのような形で下位のバゾプレッシン分泌細胞の振動体を支配しているのかを調べる方向に進む予定である。 一方、外部からの刺激による同調に関しては、従来から行っている分散した細胞の培養に加え、スライスの培養において光刺激の伝達に関わると思われる神経伝達物質の影響を調べている(2003年7月神経科学会で発表予定)。スライス培養と細胞培養ではその反応性に違いがあるが、まだはっきりとした結論を出すほどにはデータが出ていないので、今後も継続して行う予定である。
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