2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋の伸展誘発性収縮におけるミオシンホスファターゼ調節機構の役割について
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13670093
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小原 一男 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60117611)
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Keywords | イヌ / 血管平滑筋 / 脳底動脈 / 伸展刺激 / ミオシンリン酸化 / ミオシンホスファターゼ / Rho / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
イヌ脳底動脈において伸展刺激誘発性ミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化について検討した。テトラエチルアンモニウム存在下、1mm/secの速度で初期筋長の1.5倍に伸展し、その伸展状態を15分間保持するとMLCの複数部位(少なくとも3ケ所)がリン酸化された。この複数部位のリン酸化はミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)阻害薬ML-9の存在下でも認められた。また、MLCのリン酸化はRhoキナーゼ阻害薬のY-27632によりほぼ完全に抑制された。一方、イヌ脳底動脈には4種類のプロテインキナーゼC(PKC)アイソフォーム(α,δ,ζ,およびη)の存在が確認された。伸展15分後ではコンベンショナルPKC(cPKC)であるのPKCαの細胞質から細胞膜へのトランスロケーションは認められず、ノベルPKCであるPKCδのみの細胞質から細胞膜へのトランスロケーションが認められた。cPKCの阻害薬Go6976によりMLCの複数部位のリン酸化は抑制されたが、PKCδのトランスロケーションは影響されなかった。また、PKCδの阻害薬のロトレリンによりPKCδのトランスロケーションは抑制されたが、MLCのリン酸化は影響されなかった。さらに、ホスファターゼ阻害薬のオカダ酸によりMLCの複数部位(少なくとも3ケ所)のリン酸化が認められた。 以上の結果より、伸展刺激によるMLCの複数部位のリン酸化にRho/Rhoキナーゼ系を介するミオシンホスファターゼの抑制に伴う見かけ上活性化されたPKCαが関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Obara, M.Saito, A.Yamanaka, M.Uchino, K.Nakavama: "Involvement of different activator Ca^<2+> in the rate-dependent stretch-induced contractions of canine basilar artery"Japanese Journal of Physiology. 51(3). 327-335 (2001)
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[Publications] S.Nishizawa, K.Obara, K.Nakayama, M.Koide, T.Yokoyama, N.Yokota, S.Ohta: "Which protein kinase C isoforms are involved in the development of vasospasm after subarachnoid haemorrage ?"Acta Neurochir. 77(Suppl1). 21-24 (2001)
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[Publications] K.Obara, S.Yano, K.Nakayama: "Hypoosmotic swelling-and stretch-induced contractions in canine basilar artery"Journal of Muscle Research and Cell Motility. 22. 212 (2001)
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[Publications] 田辺由幸, 斉藤麻希, 小原一男, 石川智久, 中山貢一: "血管平滑筋のメカノトランスダクションとチロシンリン酸化"血管医学. 2(4). 331-340 (2001)
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[Publications] 久山哲廣, 中山貢一, 斉藤尚亮, 木原康樹, 西澤 茂, 小原一男, 石塚達夫: "プロイテインキナーゼCアイソザイムの細胞機能と病態における役割-新たな視点からの創薬への応用-"日本薬理学雑誌. 119(2). 65-78 (2001)