2002 Fiscal Year Annual Research Report
膵ランゲルハンス氏島において構成型NO合成酵素により産生されるNOの生理的役割
Project/Area Number |
13670094
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10201914)
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Keywords | ランゲルハンス氏島 / β細胞 / α細胞 / NO / cGMP / Ca^<2+> / グルコース / ラット |
Research Abstract |
本研究では、膵ランゲルハンス氏島におけるNOの生理的意義の解明を目的として、以下の検討を行なった。 1.膵α細胞[Ca^<2+>]_iに対するNOの作用:昨年度の研究により、ラット膵α細胞にもNOSの存在が示唆されたため、NOのα細胞に対する効果を検討した。その結果、0あるいは2.8mMグルコースにより誘発されるラット単離α細胞の[Ca^<2+>]_iオシレーションをNOが消失させること、さらにこの作用はcGMPを介していることが示された。すなわち、NOはα細胞からのグルカゴン分泌を抑制することが示唆された。 2.膵β細胞に対するNOの濃度依存的な2面性の作用:11.1mMグルコースにより誘発されるラット膵β細胞の[Ca^<2+>]_iオシレーションに対するNOの作用を検討した。その結果、NOは50nM以下の低濃度ではPKGの活性化を介して[Ca^<2+>]_iオシレーションの振幅を増大するのに対して、それ以上の高濃度ではcGMPに依存しない機序で[Ca^<2+>]_iオシレーションを抑制することが示された。同様に、NOが低濃度ではインスリン分泌を促進するのに対し、高濃度では抑制することを証明した。 3.膵β細胞[Ca^<2+>]_iに対するcGMPの2つの作用:ラット膵β細胞において、cGMPが電位依存性Ca^<2+>チャネルを介したCa^<2+>流入を促進することにより[Ca^<2+>]_iを上昇させる作用と小胞体へのCa^<2+>取り込みを促進する作用の2つの作用を示すことを証明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sugino et al.: "Inhibition by nitric oxide of Ca^<2+>responses in rat pancreatic α-cells"Life Sciences. 71. 85-93 (2002)
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[Publications] Ishikawa et al.: "Non-contribution of renin-angiotensin system to pressor response to N^G-nitro-L-arginine in dogs"Fundamental and Clinical Pharmacology. 16. 15-21 (2002)
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[Publications] Nakayama et al.: "Interactive role of tyrosine kinase, protein kinase C, and Rho/Rho kinase systems in the mechanotransduction of vascular smooth muscles"Biorheology. 40. 307-314 (2003)
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[Publications] Ishikawa et al.: "Two distinct effects of cGMP on cytosolic Ca^<2+> concentration of rat pancreatic β-cells"Journal of Pharmacological Sciences. 91. 41-46 (2003)
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[Publications] Kaneko et al.: "Dual effect of nitric oxide on cytosolic Ca^<2+> concentration and insulin secretion in rat pancreatic β-cells"American Journal of Physiology Cell Physiology. 284. 1215-1222 (2003)