2001 Fiscal Year Annual Research Report
心筋における非電位依存性のCa^<2+>流入経路の同定とその制御-エバネッセント顕微鏡を用いた細胞膜直下のCa^<2+>変化観察による解析-
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13670096
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
國廣 なごみ (呉林 なごみ) 順天堂大学, 医学部, 助教授 (50133335)
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Keywords | Ca^<2+>流入 / Ca過負荷 / エバネッセント顕微鏡 / 共焦点顕微鏡 / ストア依存性Ca^<2+>流入 / 心室性不整脈 / 乳頭筋 / Ca^<2+> wave |
Research Abstract |
最近、多くの非興奮性細胞においてストア依存性Ca^<2+>流入経路(SOC)が見出され、細胞内Ca^<2+>調節に重要な役割を持つことがわかってきたが、その実体や調節機構は依然不明である。また心筋や骨格筋では、電位依存性Ca^<2+>チャネル(VDCC)が大量に存在する為、それ以外のCa^<2+>流入経路の存在は確認が困難であった。しかし我々は、骨格筋にもSOCが存在することを見出した。今回その性質を調べたところ、その流入経路は、VDCCではないこと、またVDCCに比べCa^<2+>流入活性はずっと高いことがわかった(文献1)。続いて我々は、心筋におけるCa^<2+>流入を調べた。生理的な心筋の性質を保つため、単一心筋細胞でなく多細胞の乳頭筋標本を用いた。細胞外Na濃度を低くすると、静止時にCa^<2+>含量の増加が見られたが、それはCa拮抗薬でもNi^<2+>その他のNa-Ca交換体阻害剤でも抑制されなかったので、VDCCやNa-Ca交換反応以外のCa^<2+>流入経路が心筋に存在すると考えられた。これがストア依存性であるかどうかは現在検討中である。共焦点顕微鏡やエバネッセント顕微鏡でこの流入を観察しようとしたが、標本周辺の結合組織のため、高倍率では細胞に焦点が合わず観察できなかった。この点については今後は酵素処理をして結合組織を除く予定である。一方、低倍での共焦点顕微鏡観察では、これまでは心筋多細胞組織では観察不能であった細胞内のCa^<2+> waveが観察された。Ca^<2+> waveは細胞間をほとんど伝わらなかった。これらのwaveは大きさがほとんど同じで頻度のみが条件により大きく変わるため、筋小胞体のCa^<2+>含量がwaveの発生の鍵となることが示唆された。この共焦点顕微鏡による観察はCa^<2+> waveと不整脈の関連を研究するのに非常に重要な手段となると思われた。この結果については、現在投稿準備中である。(文献2、3)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kurebayashi, N., Ogawa, Y.: "Depletion of Ca^<2+> in the Sarcoplasmic Reticulum Stimulates Ca^<2+> Entry into Mouse Skeletal Muscle Fibres"Journal of Physiology. 533. 185-199 (2001)
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[Publications] Kurebayashi, N., Yamashita, H., et al.: "Intercellular propagation of calcium waves in guinea pig ventricular muscle"Biophysical Journal. 82. 599a (2002)
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[Publications] Kurebayashi, N., Yamashita, H., Nakazato, Y., et al.: "Real-time imaging of Ca^<2+> waves in multicellular cardiac muscle preparation"Japanese Journal of Pharmacology. 95. 258 (2002)
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[Publications] 呉林なごみ, 小川靖男: "骨格筋のカルシウム動態"Clinical Calcium. 11. 1417-1423 (2002)
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[Publications] 村山 尚, 呉林なごみ, 小川靖男: "骨格筋筋小胞体のリアノジン受容体とカルシウム動態"生体の科学. 52. 294-300 (2001)
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[Publications] Yasuo Ogawa et al.: "Ryanodine receptor isoforms of non-mammalian skeletal muscle"Frontiers in Bioscience. (in press). (2002)