2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋のリアノジン、ジヒドロピリジン両受容体間両方向性連絡の分子機構
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13670098
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
須田 憲男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80201581)
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Keywords | ジヒドロピリジン受容体 / リアノジン受容体 / 容量性Ca流入 / 骨格筋 / 筋小胞体 / 興奮収縮連関 / カルシウムチャネル / GFP |
Research Abstract |
本研究は、骨格筋の筋小胞体(SR)膜に存在しCa^<2+>放出チャネルとして機能するリアノジン受容体(RyR)と、形質膜に存在し電位センサーとして機能するジヒドロピリジン受容体(DHPR)との間で交わされる両方向性連絡の特性とその分子機構を明らかにしようとするものである。 [研究課題1]骨格筋細胞の収縮は形質膜の脱分極によるSRからのCa^<2+>放出により起こる。この過程で形質膜の電気信号を化学信号(Ca^<2+>)へと変換しているのが、形質膜のDHPRとSR膜のRyRであり、両者の直接的相互作用によりRyRチャネルの開口(SRのCa^<2+>放出)が起こると推定される。ところが、生筋のSR膜上ではDHPRと連結しているRyRと連結していないRyRが交互に配列しているため、DHPR連結型RyRチャネルの開閉特性に関しては解析が困難であり、DHPR連結型RyRの開口特性や両受容体間の静止時の相互作用などは明らかでない。本研究では近接場蛍光顕微鏡や蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を適用し、DHPRおよびRyR 1 分子の挙動を観ることによりこれらの問題点の解決を試みる。予備実験としてRyRのN末にGFPを発現させた。この際、DHPRのCa^<2+>電流やSRのCa^<2+>放出に本質的影響はみられなかった(Lorenzon et al., Arch Biochem Biophys, 388, 13-17, 2001)ので、次のステップとして、RyRとDHPRの相互作用部位近傍にGFPおよびAequorinを発現させるベクターの作成にとりかかっている。本年度は筋細胞培養系および全反射型蛍光顕微鏡系を構築し、培養筋細胞の細胞表層膜近傍(<100nm)に存在する蛍光分子のみを励起できる系を確立した。 [研究課題2]筋疲労時のようにSRのCa^<2+>濃度が減少する条件下で、弛緩期にCa^<2+>流入の起こること(容量性Ca^<2+>流入)が骨格筋細胞にて報告されている。そこで申請者は「RyRがSRのCa^<2+>濃度を感知し、Ca^<2+>濃度減少時にDHPRを逆行性に活性化する」とする作業仮説をたてた。本研究では正常およびDHPR欠損筋細胞にパッチクランプを適用し、この仮説を検討する。もしDHPRがSR内Ca^<2+>濃度の低下で活性化されるならば、静止時に大きな電気化学駆動力でCa^<2+>が細胞内に流入することとなり、骨格筋DHPRのCa^<2+>チャネルとしての生理的意義が確立される(Suda, Jpn J Physiol, in press)。本年度はSRと細胞質のCa濃度の同時測定が可能な蛍光顕微鏡系にパッチクランプを組み合わせた系を構築した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Suda N: "Functional properties and physiological significance of skeletal-type calcium channel"Jpn J. Physiol.. (in press). (2002)
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[Publications] Lorenzon NM: "Structure and targeting of RyR1 : implications from fusion of green fluorescent protein at the amino-terminal"Archives of Biochemistry and Biophysics. 388巻. 13-17 (2001)