2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット概日リズムの光同調におけるBITのチロシンリン酸化の役割
Project/Area Number |
13670122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 宣明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20224173)
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Keywords | BIT / 概日リズム / チロシンリン酸化 / SHPS-1 |
Research Abstract |
ほ乳類の概日リズムは視床下部視交差上核(SCN)によって発振され、光などの外界からの刺激によって環境に同調する。われわれは、網膜への光刺激によってSCNでチロシンリン酸化の亢進する蛋白質を見いだし、これがBITであることを明らかにした。BITは細胞外に3個のIgドメイン、細胞内には4カ所のチロシンリン酸化サイトを持つ細胞膜一回貫通型の蛋白質で、細胞外のシグナルを細胞内に伝える働きをしていると考えられているが、その機能は明確ではない。 われわれは、BITが概日リズムの同調に関与するか否かを検討するため、BITの細胞外ドメインに結合してこれを刺激するモノクローン抗体を脳にインジェクショシした。その結果、光刺激と同様の位相変化を惹起することが明らかになった。さらに、BITノックアウトマウスを用いて光同調の解析を行ったところ、光による位相の前進に際して野生型と明らかに異なる反応をすることが明らかになった。 光による位相変化は、SCNに入力する視神経からのグルタミン酸の放出が関与すると考えられている。そこで、初代培養神経細胞を用いて解析したところ、グルタミン酸がBITのチロシンリン酸化を亢進させることが明らかとなった。さらに、BITの活性化によって、細胞外からのカルシウムの流入が惹起されることが明らかになった。現在、BITの機能をより明確にするため、BITの細胞外、および細胞内ドメインに結合する蛋白質の同定を進めている。
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[Publications] Nakahata Y, Okumura N et al.: "Simulation of BIT Induces phase shift of circadian rhythms in rats"Brain Res.. (in press). (2003)
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[Publications] 奥村宣明, 奥村明子, 永井克也: "自律神経による代謝調節"日本臨床. (印刷中). (2003)
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[Publications] 奥村宣明, 永井克也: "プロテオミクスにおける二次元電気泳動"Molecular Medicine. 39巻. 158-165 (2002)
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[Publications] 永井克也, 礒島康史, 奥村宣明: "哺乳類の概日時計の時刻発信機能"蛋白質・核酸・酵素. 47巻14号. 1914-1922 (2002)
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[Publications] Shima T, Okumura N. et al.: "Interaction of the SH2 domain of Fyn with a cytoskeletal protein, b・adducin"J.Biol.Chem.. 276. 42233-42240 (2001)