2001 Fiscal Year Annual Research Report
行動異常マウスのトランスクリプトーム解析により得られた新皮質特異的遺伝子の解析
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13670142
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
内匠 透 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究室長 (00222092)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
ヒトゲノム計画の達成が公示された今日、生理現象の分子的基盤に基づいた理解には、網羅的・系統的解析が必須かつ可能となってきた。脳機能においても、様々な関連分子が明らかにされつつあるが、高次脳機能、とりわけ精神機能を分子レベルで理解するためには、個々の分子の解析のみならず、網羅的探索及び系統的解析による、複数分子間の相互理解が必要である。 精神機能異常を呈する最大の疾患である精神分裂病のモデルとも言うべき薬理学的モデルマウスを用いた。グルタミン酸NMDA受容体ブロッカーであるPhencyclidine(PCP)は、ヒトにおいて精神分裂病様症状をひきおこす他、動物において異常行動(多動、常同、失調)をもたらす。PCP処理マウスの新皮質に発現する遺伝子をマイクロアレイを用いて解析した結果、6500個の既知遺伝子アレイより、対照群に比べ2倍以上増加及び減少する遺伝子を、それぞれ18及び43個同定した。19000個のESTのアレイより、同じく2倍以上増加及び減少する遺伝子を、それぞれ57及び127個同定した。この中には、新皮質に特異的に発現変動の見られる新規遺伝子群が含まれる。現時点で得られている6500既知遺伝子の結果の中には、低分子GTP結合蛋白やその標的分子、細胞骨格、接着、輸送関連蛋白等、樹状突起棘の形成や調節に関与する分子群等、興味深い分子群が同定された。その中で、RNA結合蛋白質の神経細胞における機能を細胞生物学的に詳細に解析した結果、樹状突起におけるmRNAの輸送に関与していることが強く示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Ohyama, H.Kajita, K.Omori, T.Takumi, N.Hiramoto, T.Iwasaka, H.Matsuda: "Inhibition of cardiac delayed rectifier K^+ currents by an antisense oligodeoxynucleotide against lsk (MinK) and over-expression of lsk mutant D77N in neonatal mouse hearts"Pflugers Arch.. 442. 329-335 (2001)
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[Publications] S.Bouret, M.T.V.Chuoi-Mariot, V.Prevot, D.Croix, T.Takumi, S.Jegou, H.Vaudry, J.-C.Beauvilain, V.Mitchell: "Evidence that TGF-b may directly modulate POMC mRNA expression in the female rat arcuate nucleus"Endocrinology. 142. 4055-4065 (2001)
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[Publications] Y.Shigeyoshi, W.Fu, Y.Chen, K.Yagita, T.Takumi, P.Schotland, A.Sehgal, H.Okamura: "Restoration of circadian behavioral rhythms in a period null Drosophila mutant (per0) by mammalian Period homologues mPer1 and mPer2"Genes Cells. (in press).
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[Publications] T.Takumi: "A rapid cDNA cloning in the post-genome era"Methods Mol.Biol.. (in press).