2002 Fiscal Year Annual Research Report
行動異常マウスのトランスクリプトーム解析により得られた新皮質特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
13670142
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
内匠 透 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究室長 (00222092)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
ヒトゲノム計画の達成が公示された今日、生理現象の分子的基盤に基づいた理解には、網羅的・系統的解析が必須かつ可能となってきた。脳機能においても、様々な関連分子が明らかにされつつあるが、高次脳機能、とりわけ精神機能を分子レベルで理解するためには、個々の分子の解析のみならず、網羅的探索及び系統的解析による、複数分子間の相互理解が必要である。 我々はDNAチップを用いてマウス約25,000個の体系的な解析を行った結果、大脳新皮質特異的遺伝子として52個の候補遺伝子を同定した。これらの遺伝子についてマウス脳でのmRNA発現をin situハイブリダイゼーション法により検討し、大脳新皮質優位な発現パターンを示す二つの遺伝子#9、#26を固定した。#26は新規遺伝子、#9はZnフィンガーモチーフを含有する遺伝子であった。#26は成体マウス脳において大脳皮質以外に海馬、嗅球、線条体に発現が認められ、#9と比較し大脳新皮質優位性は劣るが、生後一週のマウス脳ではほとんどmRNAの発現が認められないことから、シナプス形成や成体における脳機能に関与する分子である可能性が示唆された。現在、各発生段階での詳細な発現パターンを検討するとともに機能解析を行っている。#9は脳特異的に発現し、脳内で大脳新皮質、特にIV層、V層に限局して発現が認められた。現在までに、大脳皮質特異的に遺伝子を制御する目的でCalcium/Calmodulin dependent protein kinaseIIやEmxlのプロモーターが用いられてきているが、これらは嗅球、海馬にも強く発現しているのに加え、脳以外の臓器でも強い発現が認められる。今回我々が同定した#9は、より高度に大脳新皮質に限局して発現する分子であり、このプロモーターの同定は高次脳機能発現、精神疾患発症関連分子の遺伝子発現を大脳新皮質特異的に制御するマウスの作製に有用なものとなる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Shigeyoshi, E.Meyer-Bernstein, K.Yagita, W.Fu, Y.Chen, T.Takumi, P.Schotland, A.Sehgal, H.Okamura: "Restoration of circadian behavioural rhythms in a period null Drosophila mutant (per01) by mammalian period homologues mPer1 and mPer2"Genes Cells. 7・2. 163-171 (2002)
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[Publications] S.Bouret, V.Prevot, T.Takumi, JC.Beauvillain, V.Mitchell: "Regulation by gonadal steroids of the mRNA encoding for a type I receptor for TGF-beta in the female rat hypothalamus"Neuroendocrinology. 76・1. 1-7 (2002)
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[Publications] T.Takumi: "Rapid cDNA cloning by PCR screening (RC-PCR)"Methods Mol Biol. 192. 385-389 (2002)