2001 Fiscal Year Annual Research Report
チミジンホスホリラーゼ・ウリジンホスホリラーゼダブルノックアウトマウスの解析
Project/Area Number |
13670149
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原口 みさ子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10244229)
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Keywords | MNGIE / チミジンホスホリラーゼ / ウリジンホスホリラーゼ / ダブルノックアウトマウス / 白質脳症 |
Research Abstract |
ヒトにおいてはチミジンホスホリラーゼ活性の欠損がミトコンドリア脳筋症の一種であるMNGIE(Mitochondrial Neurogastrointestinal Encephalomyopathy)の原因となっていることが報告されている。我々はチミジンホスホリラーゼ(TP)・ウリジンホスホリラーゼ(UP)遺伝子を両方とも欠失したダブルノックアウトマウスを作製することにより全身のチミジンホスホリラーゼ活性を欠損させMNGIEの症状がみられるか,疾患モデルとして利用できるかを検討した。 まずTPノックアウトマウス(TPKO)を作製し全身組織のTP活性を測定したが肝臓でのみTP活性が欠失していることがわかった。そこでUPノックアウトマウス(UPKO)の全身組織の活性を測定し肝臓以外の組織でTP活性が失われていることを確認した。両者を交配させてダブルノックアウトマウス(TP/UPKO)を作製し、TP活性と血中のチミジン、ウリジン濃度を測定し、野生型マウスと比較した。すべての組織でTP活性は失われていた。血中のチミジン濃度は野性型と比較しTPKOは約2倍、TP/UPKOは約5倍であった。 10ヶ月齢のTP/UPKOの骨格筋の生検を行い、MNGIEの特徴であるCOX活性の低下した筋繊維などがみらるか、ゴモリトリクロム染色でragged-red-fibersがあるか調べた。しかしながら同月齢の野生型のマウスとの間に有意な差はみられなかった。 ミトコンドリアDNAの欠乏、欠失がみられるかを骨格筋組織、脳組織で調べたが野生型との間に有意な差は認められなかった。 マウスの脳をMRlを用いて撮像し、白質脳症がみられるかを調べた。TP/UPKOの脳はMRlを用いたT2強調画像で高いシグナルが認められた。以上の結果よりTP/UPダブルノックアウトマウスは脳組織についてはMNGIEの疾患モデルとして利用できると考えられた。
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